・・・世観世界観の変遷を追跡して行くと、無垢な原始的な祖先日本人の思想が外来の宗教や哲学の影響を受けて漸々に変わって行く様子がうかがわれるのであるが、この方面から見ても蕉門俳諧の完成期における作品の中には神儒仏はもちろん、老荘に至るまでのあらゆる・・・ 寺田寅彦 「俳諧の本質的概論」
・・・ 世に道徳論者ありて、日本国に道徳の根本標準を立てんなど喧しく議論して、あるいは儒道に由らんといい、あるいは仏法に従わんといい、あるいは耶蘇教を用いんというものあれば、また一方にはこれを悦ばず、儒仏耶蘇、いずれにてもこれに偏するは不便な・・・ 福沢諭吉 「日本男子論」
・・・その主張を一語でいうと、神儒仏の三者は同一の真理を示している、一心すなわち神すなわち道、三にして一、一にして三である、ということになるであろう。 この兼良が晩年に将軍義尚のために書いた『文明一統記』や『樵談治要』などは、相当に広く流布し・・・ 和辻哲郎 「埋もれた日本」
出典:青空文庫