・・・第二、読本 もっとも易き文章にて諸学の手引、初歩ともなるべき事を説き、あるいは『モラルカラッスブック』などとて、脩心学の入門を記したる小冊子も、読本の内にあり。たいてい絵入りなり。この時また文法書を学ぶ。文法を知らざれば、書・・・ 福沢諭吉 「学校の説」
・・・ この官員なり、また学者なり、永遠無窮、人民と交際を絶つの覚悟ならばすなわち可ならんといえども、いやしくも上流の知見を下流に及さんとするには、その入門の路をやすくして、帳合にも日本の縦の文字を用い、法を西洋にして体裁を日本にせんこと、一・・・ 福沢諭吉 「小学教育の事」
・・・および同じ発行所の「日本文学入門」改造文庫「欧洲文学発達史」等をあげたい。「日本文学入門」は明治以来昭和十五年までの日本文学が観察されていて、文献がこまかくあげられているとともに、国文学というものがいかなる方法で研究されるべきかという点につ・・・ 宮本百合子 「世代の価値」
・・・勤労者文学対策の強化、作品指導キカンの設置、講座、学校、入門書の発行、などがあげられているだけで、きょうの段階では、どうしても「勤労者文学」という規定そのものが見直されなければ民主主義文学運動全体として発展しにくいという基本点はとりあげられ・・・ 宮本百合子 「その柵は必要か」
・・・その意味で、解説的、入門的な本の書きかたにおける新たな親しみ深さ、人柄の流露のタイプを提出していると思う。 序文によると、著者は初め、今私達の目前にあるのとは異ったプランで、この本の準備をされたらしい。現在の主篇を第一篇西洋として、第二・・・ 宮本百合子 「新島繁著『社会運動思想史』書評」
・・・この間に私は安国寺さんにドイツ文の哲学入門の訳読をして上げる。安国寺さんは又私に唯識論の講義をしてくれるのである。安国寺さんを送り出してから、私は夕食をして馬借町の宣教師の所へフランス語を習いに往った。 そんな風であったから、私が小倉を・・・ 森鴎外 「二人の友」
・・・及び感性能力の貧弱な人々にまでも明確に了解させねばならぬそれほども、私は私自身の独断的表現を圧伏させ、文学入門的詳細な説明をしていることは、月評としては赦されない。だが、私は自分の指標とした感覚なるものについて今一度感覚入門的な独断論を課題・・・ 横光利一 「新感覚論」
・・・「おれのう、頭の休まる法はないものかと、いつも考えていたときですが、高田さんの俳句をある雑誌で見つけて、さっそく入門したのです。もう僕を助けてくれているのは、俳句だけです。他のことは、何をしても苦しめるばかりですね。もう、ほッとして。」・・・ 横光利一 「微笑」
出典:青空文庫