・・・その朝、隣組の義勇隊長から義勇隊の訓練があるから、各家庭全員出席すべしといって来た。「どんな訓練ですか」「第一回だから、整列の仕方と、敬礼の仕方を教えて、あとは講演です」 と、いう。「僕は欠席します。整列や敬礼の訓練をしたり・・・ 織田作之助 「終戦前後」
・・・出版記念会には、私、鶴亀うたい申し、心のよろこびの万一をお伝えいたしたく、ただし深沼家に於いては、私の鶴亀わめき出ずる様の会には、出席いたさぬゆえ、このぶんでは、出版記念会も、深沼家全員出席の会、ほかに深沼家欠席、鶴亀出現の会、と二つ行わず・・・ 太宰治 「虚構の春」
・・・ 本当に深く人生を考えて見れば、今の社会に着物一つを問題にしてもやはり決して不可能ではない未来の一つの絵図として本当に糸を紡いで織ったり染めたりしている紡績の労働組合が強くなって勤労者全員のための衣料について積極的に作用するようになった・・・ 宮本百合子 「衣服と婦人の生活」
・・・を発展的に読む能力を具えた若き全員の希望が参加しているのである。〔一九三六年十月〕 宮本百合子 「鴎外・漱石・藤村など」
・・・婦人従業員をふくめた自衛団が組織され、全員十六歳から二十五歳という青年だがその統制が整然としていること。職場の特殊性をすべて争議団側に有利なように科学的に利用している点とともに、革命的指導による極めて新しいストライキの型を示すものであった。・・・ 宮本百合子 「刻々」
・・・の中に語られているように、全員に対してお八つぬきが行われ、その憤懣が、はけどころを求めて、脱走した少年を半殺しにするようなこともあるかも知れぬ。しかも、少年らは、逃げる、逃げようと欲している。感化され、馴致されることに、常に反撥している。そ・・・ 宮本百合子 「作品のテーマと人生のテーマ」
・・・ 次に夜業四割引反対の闘争のために、全員をまき込むことを考え、親睦会の自治化をはかる。幹事改選に壮年のSを当選させる。そして、大衆的懇談会で革新有志二十人をつくる。国鉄。 一般に官業だから政府のつぶれぬうちは従業員の生活は保・・・ 宮本百合子 「大衆闘争についてのノート」
・・・ プロレタリア文化・文学運動とその活動家全員がすき間なくレーニン的党派性をもって貫かれ武装されることは、活動を狭くするどころか、今日のように「近い将来において革命的危機に立つかも知れぬ」日本の情勢の下にあって、運動をますます強め、ますま・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価に寄せて」
・・・日本プロレタリア文化連盟婦人協議会会議中、全員検挙、一ヵ月検束された。日本のファシズムと侵略戦争に反対し、勤労階級の社会的発言の一つの現われとして活動をはじめた「日本プロレタリア文化連盟」参加の各団体は三月下旬の全国的弾圧のために、重大・・・ 宮本百合子 「年譜」
出典:青空文庫