・・・回答者の、ポスター・バリューのある似顔が程よく入れられていて、川路龍子、獅子文六、小野佐世男その他にまじって三笠宮崇仁親王という公式の名で、回答がのせられている。の答えは、小学四年生のとき母に愛のこころをこめて送った書簡が最初のラヴ・レター・・・ 宮本百合子 「戦争はわたしたちからすべてを奪う」
・・・情であるという強引な結論と政策によって今日圧殺されているのであるし、知識人の一部は、所謂進歩的といわれる知識人達が求めているような合理性や人間性の自覚とその発露の要求は民衆の心持の日常から遊離した夢、公式であると高唱して、知識人みずから人間・・・ 宮本百合子 「全体主義への吟味」
・・・を書いた時代、前衛を描きながらも同志小林自身の実感はその境地に至らず、描かれた人物だけがどこやら公式的に凄み、肩をいからしているような空虚なところがあった。「党生活者」において前衛である主人公の全生活感情は闘争と結合して、生々と細やかに描き・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価によせて」
・・・ 何にも知らない老人は、一日も早く林町へ行き、謂わば、永い間の懸念になって居る公式の訪問をすませたい。それがあるうちは、見物も長閑に出来ないと云われる。 せっぱ詰った揚句であろう、Aは、突然林町へ電話をかけた。そして、父を呼び、二三・・・ 宮本百合子 「二つの家を繋ぐ回想」
・・・所謂ロシア通の一人なのであろうが、こんなのは又例の宣伝だ、と云うので、傍のものがびっくりして、しかしこれはアメリカ側の公式発表ですよと注意したら、いや、それだってとにかく嘘だ、とがんばって肯じなかったというのである。 今日ソ同盟の社会的・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
出典:青空文庫