・・・ 各会社の利潤統制から、社員の足どめ策もあって内部の福利施設が行われるようになって来ているそうだが、谷野せつ子氏が熱心に求めている健康保護、災害防止の設備はどの位改善されつつあるのだろうか。関係会社十六社、社員二十五万人の日産では、「む・・・ 宮本百合子 「働く婦人」
・・・ 云うに云えないそのプロレタリアートの苦しい有様を利用して、資本主義国では、不景気がつのればつのるほど、弱い婦人労働者と年少労働者が、ひどい労働条件で、資本家の利潤のため搾の価値を知るようになった。婦人党員の数は年々殖えて一九二八年にさ・・・ 宮本百合子 「ひとごとではない」
・・・戦争が進むにつれ、規模が大きくなるにつれ、戦争で直接儲けている日本の資本形態は、より大資本の形にすすみ、そのことでより便乗利潤の独占に進んだ。 毎日朝から晩まで働いて、まともに暮そうと努力している人民層の生活は、日々にきりつまりつつあっ・・・ 宮本百合子 「便乗の図絵」
・・・卑猥な出版物が全く闇紙をつかって、しかも厖大な利潤を得ているのに、教科書がないこと、参考書がないことを訴えている学生は、国民学校から大学から労働者学校に充ち満ちている。ごく具体的な一例を仮定すれば、父親の小説は一冊千円でうれているのに、その・・・ 宮本百合子 「文化生産者としての自覚」
・・・ 一つの戦争ごとに日本の社会全体が国際的接触をまし、日本の民草も、自分たちが資本主義をこやすかいばとしての蒼生ではなくて、人民であり、生産者であり、その勤労からつむぎ出される生産の利潤で支配権力を養っている勤労階級の男女であるという事実・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
・・・め先からかえってくればシャレた背広にでも著更えて外国映画をみたり、むずかしいカクテールの名を覚えていたり、外国文学の筋を話すことが出来たり、つまりその人は二十四時間の大半をとりもなおさず一生の大半を、利潤のために働かされている勤労者ではない・・・ 宮本百合子 「明瞭で誠実な情熱」
・・・ブルジョア国で、これだけ素敵な設備のある産院だったら、そんな帖簿はきっと金持の夫人達の名と多額な入院料を記入した産院利潤帖だろうが、モスクワではそうではない。 一々、産婦の住所、年齢、職業、一般健康状態、姙娠中の状態、出産当時の条件、及・・・ 宮本百合子 「モスクワ日記から」
・・・ 辻馬車の赤い輪と馬の蹄とは当然昔のような個人的利潤をひらき出さない。その上燕麦は高かった。ソヴェトの農村は五ヵ年計画の集団農場化でいくらでも働く手を呼んでいる。共同牧畜のために。一匹の牛、一頭の馬も招待されている。市へ出て引合わぬ燕麦・・・ 宮本百合子 「モスクワの辻馬車」
・・・西欧の資本家は利潤と返還資金を待望している。英国がこれらを供給しなければならぬ。 それ故労働組合運動は経済単位としての英国国家組織のなされる提案に密接な関係をもって従わなければならぬ。」ソラ、巡査が手をあげたぞ!今のうち・・・ 宮本百合子 「ロンドン一九二九年」
・・・彼等の利潤追求におもねるばかりであった。 食糧は規格統制に従って配給されるようになった。しかし、その配給にしろ、昼間職場に働く主婦にとっては、いつもいつも気掛りな問題であったし、隣組の人達に気兼をしなければならない苦しい事情に立たされた・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫