・・・りてもと明け暮れ申しおり候ここをくみ候わば一兵士ながらもそなたの幸いはいかばかりならんまた申すまでもなけれど上長の命令を堅く守り同列の方々とは親しく交わり艱難を互いにたすけ合い心を一にして大君の御為御励みのほどひとえに祈り上げ候以上は母・・・ 国木田独歩 「遺言」
・・・そんな工合で互に励み合うので、ナマケル奴は勝手にナマケて居るのでいつまでも上達せぬ代り、勉強するものはズンズン上達して、公平に評すれば畸形的に発達すると云っても宜いが、兎に角に発達して行く速度は中々に早いものであったのです。 併し自修ば・・・ 幸田露伴 「学生時代」
・・・この金八が若い時の事で、親父にも仕込まれ、自分も心の励みの功を積んだので、大分に眼が利いて来て、自分ではもう内ないない、仲間の者にもヒケは取らない、立派な一人前の男になったつもりでいる。実際また何から何までに渡って、随分に目も届けば気も働い・・・ 幸田露伴 「骨董」
・・・そして、そういうお母さんがたが、やっぱり勇気をもって、稼業を励みながらたまには、そんな気のくつろいだ時ももたれるかと思えば、何とも云えない気がしますね。あなたがたは、家にいる間実によく働いてお母さんにもよくしてお上げになったから、それもどん・・・ 宮本百合子 「二人の弟たちへのたより」
出典:青空文庫