・・・ ペトログラード士官学校の急進的卒業生によって組織されたのだろうか? そうではなかった。グラトコフの「セメント」でわれわれがよんだように、工場の赤衛兵の発達したものであったろうか? そうでもない。ブジョンヌイという一人の農民出身で、戦術にか・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・ 事変以来、様々の勤労の場面に小学校の卒業生の求められている勢は殆どすさまじいばかりで、三月末の日曜日、東京の各駅には地方から先生に引率された「産業豆戦士」が、行李だの鞄だのを手に手に提げて、無言の裡に駭きの目を瞠りながら続々と到着して・・・ 宮本百合子 「国民学校への過程」
・・・実業学校の卒業生は上級学校へ入れないことになったという事実には、それらの少年たちへのむごさがあると思う。 今日の世界の歴史が切迫し激動しているということから割り出されて来る社会的な必要と云われるもので目前説明されても、やはり世人のうけた・・・ 宮本百合子 「今日の耳目」
・・・ わたしは何となくいつも心に苦しさのある生徒だったが、卒業してからは、謝恩的な感情に支配されるのが普通とされている卒業生の雰囲気にとって、一つのとげのような存在となってしまった。わたしは一度ならず、女学校時代の思い出の痛苦をかいたから。・・・ 宮本百合子 「歳月」
・・・日本の国民学校六年の卒業生の実力が四年修業程度しかないことが、アメリカの教育視察団によって報告された。民主日本建設のために人民一般の知能水準の向上のために義務教育の年限を長くしなければならないとされ、文部省は六・三制ということをきめた。九年・・・ 宮本百合子 「女性の歴史」
・・・フランス婦人の間に組織された大学卒業生の団体は、ナチスに占領されたフランスにおいて民主国の兵士を保護し、その人々を虐殺から救い国外に逃亡させてやるために大規模に活動した。ナチスに追われアメリカにいた各国の芸術家たちは、平和とファシズムに反対・・・ 宮本百合子 「それらの国々でも」
・・・同じ年の卒業生は一つの組で三十二人ほどであったが、そのなかで現在何か仕事をもって生きている人というのは、あるかしら。 却って、その時代には先生であった方のうち、二人ほどの方々が今も私の先輩として、友達として、つき合いも保たれ、生活感情も・・・ 宮本百合子 「なつかしい仲間」
・・・この二三年来、日本の女の力はおびただしく生産の場面に進み出しているのだが、とくに来年の春からは、全日本の女学校、専門学校卒業生に対して、職業紹介所を通じての勤労への動員が行われることになった。一昨年あたりから、小学校を卒業した少年少女たちが・・・ 宮本百合子 「働く婦人の新しい年」
・・・硯友社時代の師匠、その弟子という関係でかためられた流派的存在、対立が、各学校の文科卒業生たちが文化面での活動分子として数に於ても増大して来たと同時に、出版事業の形態も拡大し、より広汎な、各流派を包括する文壇が形成された。 歳月を経るにつ・・・ 宮本百合子 「文学の大衆化論について」
・・・日本女子大学卒業生型の日本女性代表だ。――が、大体これらの写真はおかしい。一枚の成人教育課程終了者群の写真も無い。淑女紳士の写真だけである。足の下には敷かぬ絨毯を前景に拡げ、背後の蔦とともに綺麗に並んだトインビー・ホール居住人――数ヵ月の社・・・ 宮本百合子 「ロンドン一九二九年」
出典:青空文庫