・・・そうして底に、ただならぬ厳正の決意を感じさせる文章を書くものだ。繰り返し繰り返し読んでいるうちに、私にはこの三田君の短いお便りが実に最高の詩のような気さえして来たのである。アッツ玉砕の報を聞かずとも、私はこのお便りだけで、この年少の友人を心・・・ 太宰治 「散華」
・・・ 就てはこれより約五分間私の奉ずる神学の立場より諸氏の信条を厳正に批判して見たいと思うのであります。然るに私の奉ずる神学とは然く狭隘なるものではない。私の奉ずる神学はただ二言にして尽す。ただ一なるまことの神はいまし給う、それから神の摂理・・・ 宮沢賢治 「ビジテリアン大祭」
・・・ 崇福寺などと同様、この福済寺も朱塗で、大棟に鯱や宝珠のついた明風建築だが、崇福寺よりは規模も大きいし、見た目に幾分厳正な感じを与えられる。青蓮堂の軒に、紫檀を枠にした古風なぎやまん細工の大燈籠が吊並べてあるの等、地方色豊かだ。青蓮堂に・・・ 宮本百合子 「長崎の印象」
・・・「もしこの書が正確な、絶対な、厳正な真実でないならば、存在価値はない。私はいつもただ私の考えているだけのことをいうのみではなく、またあるいは私を滑稽に見せるかもしれず私の不利益となるかもしれぬことをかくそうと思ったことはなかった。」 若・・・ 宮本百合子 「マリア・バシュキルツェフの日記」
出典:青空文庫