・・・朝鮮、台湾の殖民地で搾られる大衆の暮しは話のほかだ。 プロレタリア・農民の階級的攻撃を挫くために、支配階級はありとあらゆる文化機関、印刷物、ラジオを通して戦争熱を煽っている。ストライキと農村争議は、挙国一致の時という名目の下に今までより・・・ 宮本百合子 「国際無産婦人デーに際して」
・・・軍国主義の敗北とともに、満州、中国、朝鮮、台湾、樺太、さらに遠い南の果てから内地へ引きあげてこなければならなかった日本人男女は幾十万人あったろうか。台湾、朝鮮のような植民地または中国、満州のような半植民地に発展していた人たちは、その土地と社・・・ 宮本百合子 「ことの真実」
・・・がガソリンでなく薪で走って、坂にかかると肥桶を積んだ牛車に追いこされるという笑話が万更嘘ばかりでもない今日、現象として科学の発達のよろこびは皮肉と苦笑とを誘って実感から遠いものとなるのはやむを得まい。台湾旅客機エンボイ機が台北の北方七星山麓・・・ 宮本百合子 「市民の生活と科学」
・・・中国の「台湾ぐみ」も自分の国語を二つもっている連中である。民衆は常にその民族の言葉を話す。〔一九五〇年六月〕 宮本百合子 「長寿恥あり」
・・・児玉よしを 台湾への□(二、その後 こんにちまで一九五〇年は六月を境として 日本は重大にかわった最後の十二月に 朝鮮戦線で 原爆を使用するかどうか。〔欄外に〕十二月一日から四日まで世界は、・・・ 宮本百合子 「東大での話の原稿」
・・・ ここで朝鮮、台湾の読者諸君に特別に知らせたいことがある。それは、ゴルロフカの「労働宮」にはロシア語の工場新聞のほかにもう二つ別にユダヤ語とタタール語の小新聞発行所が設けられていることだ。十月革命によってプロレタリア農民が勝利するまで、・・・ 宮本百合子 「ドン・バス炭坑区の「労働宮」」
・・・同時に作家同盟では、農民文学に対する委員会、児童文学に対する委員会、青年の文学的創造力を指導するための委員会、朝鮮、台湾等の植民地の文学を、それぞれの民族文化との関係に於ける独自的発達を支持するための委員会が組織された。私はこの婦人委員会の・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・我学友はあるいは台湾に往き、あるいは欧羅巴に遊ぶ途次、わざわざ門司から舟を下りて予を訪うてくれる。中にはまた酔興にも東京から来て、ここに泊まって居て共に学ぶものさえある。我官僚は初の間は虚名の先ず伝ったために、あるいは小説家を以て予を待った・・・ 森鴎外 「鴎外漁史とは誰ぞ」
・・・ こんな話をしているうちに、聯想は聯想を生んで、台湾の樟脳の話が始まる。樺太のテレベン油の話が始まるのである。 増田博士は胡坐を掻いて、大きい剛い目の目尻に皺を寄せて、ちびりちびり飲んでいる。抜け上がった額の下に光っている白目勝の目・・・ 森鴎外 「里芋の芽と不動の目」
出典:青空文庫