・・・けれども、また亡くなった鷲の大臣が持っていた時は、大噴火があって大臣が鳥の避難のために、あちこちさしずをして歩いている間に、この玉が山ほどある石に打たれたり、まっかな熔岩に流されたりしても、いっこうきずも曇りもつかないでかえって前よりも美し・・・ 宮沢賢治 「貝の火」
・・・一緒に噴火のとき、落ちて来たのにね。」「僕は、生れてまだまっかに燃えて空をのぼるとき、くるくるくるくる、からだがまわったからね。」「ははあ、僕たちは、空へのぼるときも、のぼる位のぼって、一寸とまった時も、それから落ちて来るときも、い・・・ 宮沢賢治 「気のいい火山弾」
・・・「おい、みんな、もうだめだぞ。噴火だ。噴火がはじまったんだ。てぐすはみんな灰をかぶって死んでしまった。みんな早く引き揚げてくれ。おい、ブドリ、お前ここにいたかったらいてもいいが、こんどはたべ物は置いてやらないぞ。それにここにいてもあぶな・・・ 宮沢賢治 「グスコーブドリの伝記」
・・・足もとから噴火が起こって、僕を空の遠くにほうりなげろ。もうなにもかもみんなおしまいだ。雷が落ちて来て一ぺんに僕のからだを砕け。足もと……」「いや若様、雷が参りました節は手前一身におんわざわいをちょうだいいたします。どうかご安心をねがいと・・・ 宮沢賢治 「シグナルとシグナレス」
・・・「まあいいさ、お前もしっかり支度をして次の噴火にはあのイーハトブの位になれ。十二ヶ月の中の九ヶ月をあの冠で飾れるのだぞ。」若いラクシャン第四子は兄のことばは聞きながし遠い東の雲を被った高原を星のあかりに透し見てな・・・ 宮沢賢治 「楢ノ木大学士の野宿」
・・・「ちかごろは噴火もありませんし、地震もありませんし、どうも空は青い一方ですな。」 判事たちの中で一番位の高いまっ赤な、ばけものが云いました。「そうだね全くそうだ。しかし昨日サンムトリが大分鳴ったそうじゃないか。」「ええ新報に・・・ 宮沢賢治 「ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記」
・・・五、噴火を海へ向けるのはなかなか容易なことでない。 化物丁場、おかしなならの影、岩頸問答、大博士発明のめがね。六、さすがのフウケーボー大博士も命からがらにげだした。 恐竜、化石の向こうから。 大博士に疑問をいだく。噴火係・・・ 宮沢賢治 「ペンネンノルデはいまはいないよ 太陽にできた黒い棘をとりに行ったよ」
・・・潮流の工合で、南洋からそういう植物をのせたまま浮島が漂って来て、大仕掛の山葵卸のようなそれ等の巖のギザギザに引っかかったまま固着したのか、または海中噴火でもし、溶岩が太平洋の波に打たれ、叩かれ、化学的分解作用で変化して巖はそんな奇妙なものと・・・ 宮本百合子 「九州の東海岸」
出典:青空文庫