・・・しかも、最後の一行、昭和二十年十月十六日の事である、に到っては噴飯のほかはない。もう、ごまかしが、きかなくなった。 私はいまもって滑稽でたまらぬのは、あの「シンガポール陥落」の筆者が、戦後には、まことに突如として、内村鑑三先生などという・・・ 太宰治 「如是我聞」
・・・今日読返して見ると覚えず噴飯するほどである。わずか十四、五歳の少年が「昨日は紅楼に爛酔するの人」といっているに至っては、文字上の遊戯もまた驚くべきではないか。しかし自分は近頃十九世紀の最も正直なる告白の詩人だといわれたポオル・ヴェルレエヌの・・・ 永井荷風 「夏の町」
・・・うぬぼれの象徴にさえなり得ない噴飯事です。 「こたつにあたっているような生活態度」ということは、おそらくわたしが不健康のために外出せず、サークルにゆけず、立候補しないことなどから言われることでしょう。 わたしは、一九三一年十月・・・ 宮本百合子 「文学について」
出典:青空文庫