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・・・「彫と云い、地金と云い、見事な物さ。銀の煙管さえ持たぬこちとらには見るも眼の毒……」 調子にのって弁じていた了哲と云う坊主が、ふと気がついて見ると、宗俊は、いつの間にか彼の煙管入れをひきよせて、その中から煙草をつめては、悠然と煙を輪・・・
芥川竜之介
「煙管」
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・・・「忌々しい、そう思わるるが厭だによって、大分気をつけているが地金はとかく出たがるものだナ。「ハハハ、厭だによってか、ソレそれがもういけねえ、ハハハ詰らねえ色気を出したもんだ。「イヤ居れば居るだけ笑われる、明日来てみよう、行かれた・・・
幸田露伴
「貧乏」