・・・ 三通りの発展の段階があるにしても、唯一つ、最も基本的で共通な点は、民主社会においては、婦人が、全く人口の半分を占める男子の伴侶であって、婦人にかかわるあらゆる問題の起源と解決とは常に、男子女子をひっくるめた人民全体の生活課題として、理・・・ 宮本百合子 「合図の旗」
・・・けれども、いまやっと、人間の基本的人権の確立がいわれるようになったとき、日本の知識階級の若い女性たちは、自分たちめいめいの運命の開花の問題として民主主義社会建設の課題を、どのように真剣にとりあげはじめているであろうか。自分の才能の達成と、愛・・・ 宮本百合子 「明日の知性」
・・・ 基本的な社会関係までを自分の問題としてとりあげる迫力がなく、しかも常に朗らかでばかりあり得ない気分の上でだけ新らしさを追求する結果、すでに映画制作者が巧みにも把えている古いものの新らしげな扮飾が、恋愛の技巧の上で横行する。互にまともな・・・ 宮本百合子 「新しい一夫一婦」
・・・界の人民の民主化のためにタフト・ハートレー法や非アメリカ委員会の活動は廃止さるべきものであり、鉄のカーテンはとけうるものであり、またとかせるべきものであり、利潤を追うあまりに戦争挑発のとびこみ台となる基本産業は国有にされたほうがよいと、誰に・・・ 宮本百合子 「新しい潮」
・・・自由を守り、ファシズムと奴隷教育に反対する意志の表現は、誰にとっても基本的人権の問題だし、われわれが税を払って政府を養っている以上それと全くひとしい権利を保証された社会的行動の一つです。 文学者がファシズムに反対し、戦争挑発に反対して現・・・ 宮本百合子 「新しい抵抗について」
・・・社会の形成の変遷につれ次第に財産とともにそれを相続する家系を重んじはじめた男が、社会と家庭とを支配するものとしての立場から、その便宜と利害とから、女というものを見て、そこに求めるものを基本として女らしさの観念をまとめて来たのであった。それ故・・・ 宮本百合子 「新しい船出」
・・・ 今日新しい社会的な環境の中で、両性の協力ということを友情や、恋愛の感情の基本にあるものとして、一般がとり上げ初めたこと、そして私もその角度から率直に、話せるようになって来た事。このことを考えただけでも、日本の社会が絶大な犠牲を払って歩・・・ 宮本百合子 「あとがき(『幸福について』)」
・・・言論の自由ということは、どんなに人間の社会生活にとって基本的に主張されなければならない重大な権利であるかということについて忘れないために。 一九四八年二月十四日〔一九四八年二月〕・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第五巻)」
・・・この一巻に集められている二十数篇の評論、批評は、理論的に完成されていない部分や、展開の不十分な面をふくんでいるにもしろ、日本の人民階級の文学、人間解放のため文学がもっている基本課題をとりあげ、それを正当に推進させようとする努力において、ちっ・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第十巻)」
・・・こういう問題も、わたしたちは、人民の基本的人権の擁護とブルジョア的な法律適用による裁判が果して公正なものであるかどうかについての絶え間ない注目とを基礎にして、判断してゆく必要がある。参議院の引揚援護委員会も吉村隊事件ではいかがわしい委員会の・・・ 宮本百合子 「「委員会」のうつりかわり」
出典:青空文庫