・・・ここには、壁新聞やピアノや、この前ハンガリーの共産青年同盟員が訪ねて来たときみんなでとったという写真や、シュロの植木鉢などが飾ってある。 あっちこっちの隅で、本をよんだり、学校の宿題をやったりしている一隅で、わたしたちは長い間、ピオニェ・・・ 宮本百合子 「従妹への手紙」
・・・ われわれは工場新聞と各職場の壁新聞を動員して、少くとも九百人の文学衝撃隊が集められるだろうと思う。 どんなことがあっても、それより少いことが、あっちゃならない。 われわれは、生産経済計画を百パーセントに充すとともに、文化戦線を閑却・・・ 宮本百合子 「「鎌と鎚」工場の文学研究会」
・・・ここではタイプライターで綺麗にうった職場の壁新聞を見た。 強烈な、新鮮な建設の現実にうたれてモスクワへ帰って来た。 間もない或る日、国立出版所の店へ行くと、どこか店内の模様がかわっている。見ると、これまでズラリと壁にはめこまれていた・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・ 職場の壁新聞・工場新聞は、三十万人の労働通信員、農村通信員に意見発表の機会を与えているばかりではない。やっと二年前に文字を書くことを覚えた六十の婆さんに向っても、開放されている。工場内には、はじめ、極く日常の出来事に関する感想を壁新聞・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・ここはここでいろんなクルジョークがあって、この壁新聞もそこで出してます。 四つの、樹や鳥の絵で装飾された室が、別に学齢までの幼児のために設備されてある。小さい清潔な白塗の椅子テーブルが、水鉢の上で芽をふきかけているいろんな球根ののった窓・・・ 宮本百合子 「子供・子供・子供のモスクワ」
・・・ 二階の壁に、絵入りのスモーリヌイ勤労者壁新聞が張り出してある。 スモーリヌイの外観は快活である。そのように内部も清潔で、白い。極めてさっぱりしている。 三階の廊下へ入るところに、赤衛兵が番をしている。許可証を赤衛兵にわたした。・・・ 宮本百合子 「スモーリヌイに翻る赤旗」
・・・ 職場では、もう仕事着に着かえたオーリャが、壁新聞の前に立って、みんなに大きな声を出して、今年の国際婦人デーがどんな意味をもっているかという小さい論文を読んでやっている。 ニーナは、かたまりの後に立って、注意ぶかく耳をすました。・・・ 宮本百合子 「ソヴェト同盟の三月八日」
・・・ ――劇場は、どこでもそこの壁新聞をもっている。工場や役所、学校と同じに。――劇場壁新聞の展覧会の写真だ。 ――ふーむ。この一冊の帳面は全体が観劇日記みたいなものなんだね。 ――ソヴェトでは、歴史の進展が実に速いからね。もう四五・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・そして工場新聞、壁新聞を通じて芸術と生産とをしっかり結びつくように、プロレタリアイデオロギーとして一層活溌に文学研究会員が指導する。五ヵ年計画で各地には大工場が新設されたし、集団農場も各地に非常に盛んに新設されて、作家がそう云う場所に、芸術・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの現状勢と芸術」
・・・だが、そのほかにサークルの人々の文筆的な表現は職場の壁新聞に生かされることができるし、労農通信という方向で、どう生きてゆくかというその問題にたってひらかれてゆく可能もある。 現在いろいろな成員をもっているサークルの、どこかで流通のとどこ・・・ 宮本百合子 「その柵は必要か」
出典:青空文庫