・・・ 日本が民主的自主的政治の能力を示して、世界に、自立的民族として存続する可能性の十分あることを示すか、或は、蒙昧な反動国として、民主的世界によって飽くまで監視されなければならない立場に置かれるか。次回の総選挙は、そういう意味で極めて重大・・・ 宮本百合子 「逆立ちの公・私」
・・・の画面の描写からはじまって、ちょうど一九三七年ころの京大に、かろうじて存続していた学生運動のグループと、それに近づき接触しながら、一つになりきれずにさまざまの問題を感じている深見進介という青年を主人公としたものです。この作品は、さっきから触・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」
・・・夫婦愛より歴史性の古いと云われているその母性感情の故に、最も高度に錯綜した社会諸関係の辛苦にふれているという深刻な事実の裡にこそ、このバッハオーフェンの一巻が古典として存続し得る必然がかくされているというのは、意味深いことであると思う。・・・ 宮本百合子 「先駆的な古典として」
・・・イントがどこにあるかということについては、実に信じられないほど僅かしか知らず、漠然としかしらず、しかもその僅少な理解と漠然たる翹望は、今日、ちっとも民主的でもないし、正直でもない政権の頑迷執拗なねばり存続によって、けがされつつあるのである。・・・ 宮本百合子 「誰のために」
・・・日本の小規模な独占資本は、より強大な国外の独占資本の利益追及に便乗してそのおかげで存続しつづけることに決心している。便乗というとき、より大きなそのときの勢力にこちらから出向いて行ってそれにひとくち乗せてもらう場合を考えるのがならわしとなって・・・ 宮本百合子 「便乗の図絵」
・・・東條は死んでも信念は死なないと云い、ファシズムの存続が明言されていることは、きわめて厳粛に、きわめて真面目にわたしども人民が考えなければならない。現在私どもはいろいろの点でだまされています。私どもの人民としての知慧も決心もまだ十分でないんで・・・ 宮本百合子 「平和運動と文学者」
・・・その勢力は、表面ブルジョア民主主義の建設をいい、国際平和のスローガンをかかげ、国内の抵抗力をよわめて、自分の権力保持に役立つ他国の勢力と結合し、そのために役立つことで、存続の保証を得ようとしている。日本のすべての心に戦争の恐怖があり、ファシ・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
・・・是れ妻を娶るは子孫存続のためなれば也。然れども婦人の心正しく行儀能して妬心なくば去ずとも同姓の子を養うべし。或は妾に子あらば妻に子なくとも去に及ばず。三には淫乱なれば去る。四には悋気深ければ去る。五に癩病などの悪き病あらば去る。六に多言にて・・・ 宮本百合子 「三つの「女大学」」
・・・「原子爆弾は、われわれが人類の存続を考える限り、それを大規模の戦争に用いることを望んではならぬ程度まで発達している」と。 原子力が人類の殺戮の武器であってはならないことを確信して、その禁止と平和のために行動している科学者はジョリオ・キュ・・・ 宮本百合子 「私の信条」
・・・けれども、思想の上から見ると、これ等、殆ど悲劇的な離反の大部分は皆各自の生活を、悠久な人類の歴史的存続というところまで溯らせて考察する明に欠けているからと思われるのです。 多くの人間は永くて自分と子との一生ほか、生活意識の延長として持ち・・・ 宮本百合子 「われを省みる」
出典:青空文庫