・・・生活に追われていない令嬢の一人として、せめて、根気よく完訳されたらよかったと思う。それから、序文のなかで、ところどころに「自分の感想を加え、原文と異っているところもあるが」と云われていることも、目的は日本の読者にわかりやすいためという気持か・・・ 宮本百合子 「『この心の誇り』」
・・・ その文章は何月何日の『プラウダ』に出たものであったのか、執筆者の署名があったのか無かったのか、完訳であるのか抄訳であるのかそれ等の点については、説明されていない。 ジイドの旅行記と『プラウダ』の批評とは、その性質上、対立的なものと・・・ 宮本百合子 「ジイドとそのソヴェト旅行記」
・・・この最初の二冊を読んだ人々は一層熱心に第三巻を待っているのであろうし更に第十巻全部が滞りなく完訳されることを切望しているのであろうと思う。山内義雄氏はフランス文学のうつし手として、これまでも多くの意義ある業績を示しておられるが、この「チボー・・・ 宮本百合子 「次が待たれるおくりもの」
・・・ 十六年前に第一巻が訳されて、全四巻が完訳されるのは今度がはじめてであるのだそうだ。完成の上は、日本の読者も心に親しいトルストイについておびただしい新しい知識を増すであろう。訳者の労も感謝されなければならないと思う。 ビリューコフが・・・ 宮本百合子 「『トルストーイ伝』」
出典:青空文庫