・・・処々の大工場、実務学校などで熟練工の養成、再教育をしている中には、専門学校出の若い婦人を新たに機械工業のための製図師として再教育している実例もある。臨時工として種々の官営、民営工場に雇われ、工業部門に参加するようになって来た女の数はおびただ・・・ 宮本百合子 「新しい婦人の職場と任務」
・・・そして彼女の腹違いの妹のシルヴィが、生粋のパリの市民で――プロレタリアートで、イリュージョンを持たず、機智的で実務家で、恋愛と結婚とをはっきり区別し、「そりゃ恋人には危っかしくたって面白い人がいいけど、良人には、一寸退屈だって永持ちのする確・・・ 宮本百合子 「アンネット」
・・・一九一四年度ロシアの中学校、実務学校、予備学校における学生の出身階級の分布 世襲貴族の子弟 六・三 貴族及高官 一八・四 宗教家 四・八 紳士及紳商 九・六 商人、組合の親方 三二・一・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・読者の水準にかこつけて、作家・評論家たちが自己放棄を告白した時から、その人々にとって文学の作品は制作から次第に実務に変質して来たのだと思う。 島木、阿部という作家たちの読まれかたも、初めの頃は何かを人生的な欲求として求めている読者の・・・ 宮本百合子 「今日の読者の性格」
・・・ 家庭購買組合も見たところ大きい規範で経営されてはいるけれど、各戸を実際にまわっている実務員が報酬を歩合い制でもらっているものだから、月の売上げの多額なところへ便宜を計るという致命的な弱点をもっている。少人数の家では少額ならざるを得ない・・・ 宮本百合子 「主婦意識の転換」
・・・それらはみんなアメリカの旺盛な生産力、激甚な自由競争、充実緊張した実務時間の半面におこる文化的要求の反映である。世界生産の諸部門において、ソヴェト同盟はアメリカに近接しつつあるし、ある部分ではそれを凌駕しつつある。勤労人民の生活条件の安定は・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
・・・ 当時クラブ出発に関係していたいろいろの婦人たちの賛成を得て櫛田ふきさんが、実務の担当者となったことは、彼女の亡き良人が経済学者の櫛田民蔵氏だからではなかった。ふき子という彼女その人の婦人としての生活経験と、人間としての可能性によってみ・・・ 宮本百合子 「その人の四年間」
・・・天分があり、才能があり、而して意志のある者なら、自分の望む限り、学術研究に携っても実務に就ても発展することが出来る。完く一箇の自由人、独立人として何者にも制せられず、天職と自覚した方針を戴いて何処までも努力出来ると云う事実は、一般女性の胸に・・・ 宮本百合子 「男女交際より家庭生活へ」
・・・ 一面情熱的な理想家、人類改善の使命の自覚者である彼が他の一方では極めて実務家で、理想の懐疑者、「原論」の嫌悪者、実利主義者である。 理想家ルースは左翼のリーダアになったかもしれずY・M・C・Aのとび切り忠実な書記にでもなりかねない・・・ 宮本百合子 「微妙な人間的交錯」
・・・アメリカの所謂名門旧家の人々が、いつしか社会の推移につれて教会の神のほかの神々である金力のほか有名人という気まぐれな神にも支配され奉仕するようになって来ていること、しかもそこにアメリカ的実務性にしたがって有名人製造というビジネスの存在する有・・・ 宮本百合子 「文学の大陸的性格について」
出典:青空文庫