・・・ 先頃『文芸』にのった作家と作家の文芸対談が、よそめにはそれぞれ見物を予想しての職業的はったりの利かせ合いのようで、文学そのものに役立とうとするつつましい情熱が感じられなかった。対談の作家たちが、もしこの現実の他面では自分たちがどんな貧・・・ 宮本百合子 「今日の作家と読者」
・・・大谷尊由に対談して、長谷川「歎異鈔なんか拝読いたしますと『善人なをもて往生をとぐ、いはんや悪人をや』と書いてありますから、吾々共産党だった者でも努力をすれば救われるでしょうか」という質問を出している。この実例は、文化面においてないがしろにで・・・ 宮本百合子 「新年号の『文学評論』その他」
・・・の地球上には世界に比類ない大きい規模で諸芸術を花咲かせ、作家の経済的安定の問題から、住居・健康のことまで具体的な考慮をはらい得る国家が現実に存在していること、そして、そこでは山本有三が松本前警保局長と対談したとは全く異った内容性質で、作家が・・・ 宮本百合子 「一九三四年度におけるブルジョア文学の動向」
・・・人民のための文学をつくる、それが社会主義的リアリズムだとシーモノフがいう、わかりきったことで対談が終る。しかしなにか気に残っています。 その気に残っているものが問題なのです。日本で社会主義的リアリズムを取上げましたのは一九三一年の終りか・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」
日本は誰のものか。八月十四日の読売新聞で、吉田茂、馬場恒吾の対談の大見出しをみてはげしい反問を感じなかったひとは、一人もなかったろう。「日本の進路」について、何よりも先に「外国人の安住地に」と大見出しがつくような話をする一・・・ 宮本百合子 「日本は誰のものか」
・・・『週刊朝日』で、高田保氏と対談している幸田文氏は、その意味のことをいっている。自分が女だもんだから女のことは大体わかるのでという風に。 わたしは、偶然、そのところをよんで、何となし考えこんだ。こんにち、ほんとに女のことのわかっているとい・・・ 宮本百合子 「人間イヴの誕生」
・・・ 一月一日朝日新聞の第一面に「バンチ湯川両博士対談」がのった。「人類互に理解と尊敬を」もつべきだというテーマの対談で、黒人博士バンチの談話は現実に平和のために働いている人としての具体性が感銘を与えた。ラルフ・バンチ博士はパレスチナ紛争調・・・ 宮本百合子 「「人間関係方面の成果」」
・・・丸公値上げについては、都留副長官が、女性改造という婦人雑誌の対談会で、民報の森沢氏からつっこまれて大汗に陳弁している。和田長官はこのメモの中では、まるでそういう事実は勤労者家計に関係ないことででもあるように丸公値上げのことはよけて通ってしま・・・ 宮本百合子 「ほうき一本」
・・・四月六日の『読売報知』には、ヒトラー、ムッソリニ礼讚の自著『世界の顔』についての、外人記者との対談で、「武士道は日本精神の精髄で、ナチス精神との間には多分の近似性がある」と、心ある全国民を戦慄させる断言をしている。ヨーロッパ、アメリカの政治・・・ 宮本百合子 「矛盾とその害毒」
・・・わたしが深いショックを感じたのは、去年の一月、二人でNHKから民主的文学について対談を放送したことがあったからであった。それから去年の夏、わたしが身体をわるくして東京にいられなかった間に、譲原さんから手紙がきていて、その返事をうちの人が出し・・・ 宮本百合子 「譲原昌子さんについて」
出典:青空文庫