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・・・――もし二十五人であったら十二人半宛にしたかも知れぬ、――二等分して、格別物にもなりそうもない足の方だけ死一等を減じて牢屋に追込み、手硬い頭だけ絞殺して地下に追いやり、あっぱれ恩威並行われて候と陛下を小楯に五千万の見物に向って気どった見得は・・・
徳冨蘆花
「謀叛論(草稿)」
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・・・ 男の子が投げる事をやめる様にわきにある杭の木を小楯に取って、じいっとその方を見つめて居た。 体は静かに、眼は静かに、子供の上にそそがれてあるけれ共、今までに経験したことのない不安な気持は、私の頭中かけ廻って、あの小石が男の子の手を・・・
宮本百合子
「農村」