・・・事にして、両者一心同体、共に苦楽を与にするの契約は、生命を賭して背く可らずと雖も、元来両者の身の有様を言えば、家事経営に内外の別こそあれ、相互に尊卑の階級あるに非ざれば、一切万事対等の心得を以て自から屈す可らず、又他をして屈伏せしむ可らず。・・・ 福沢諭吉 「新女大学」
・・・春風馬堤曲に溢れたる詩思の富贍にして情緒の纏綿せるを見るに、十七字中に屈すべき文学者にはあらざりしなり。彼はその余勢をもって絵事を試みしかども大成するに至らざりき。もし彼をして力を俳画に伸ばさしめば日本画の上に一生面を開き得たるべく、応挙輩・・・ 正岡子規 「俳人蕪村」
・・・ 婦人の独自な条件に立って体育、知育、徳育の均斉した発達の必要と、家庭生活における夫婦の「自ら屈す可からず、また他を屈伏せしむべからざる」人性の天然に従った両性関係の確立、再婚の自由、娘の結婚にあたって財産贈与などによる婦人の経済的自立・・・ 宮本百合子 「女性の歴史の七十四年」
・・・もし作家が大衆化の意味をあやまって、後者の態度にしたがうようなことがあれば、それは大衆を低めているものの力に屈すと同時に、作家自身を無力化せしめている力にも自身から叩頭することになってしまうであろう。 近頃は、嘗てプロレタリア文学運動に・・・ 宮本百合子 「文学の大衆化論について」
・・・で福沢諭吉が最も力をこめている点は、婦人の独自な条件に立っての体育、知育、徳育の均斉と、結婚生活における夫婦の「自ら屈す可からず、又他をして屈伏せしむべから」ざる人生の天然に従った両性関係の確立、再婚の自由、娘の結婚にあたって財産贈与などに・・・ 宮本百合子 「三つの「女大学」」
出典:青空文庫