・・・ KLEIST それにつづいて、四十篇くらい、みんな面白そうな題の短篇小説ばかり、ずらりと並んでいます。巻末の解説を読むと、これは、ドイツ、オーストリア、ハンガリーの巻であることがわかります。いちども名前を聞いたことの無いよう・・・ 太宰治 「女の決闘」
・・・少年は、しばらくそれをいじくっていたが、やがて、巻末のペエジにすべての解答が記されているのを発見した。少年は眉をひそめて呟いたのである。「無礼だなあ」 外はみぞれ、何を笑うやレニン像。 叔母の言う。「お前はきりょうがわる・・・ 太宰治 「葉」
十余年前に小泉八雲の小品集「心」を読んだことがある。その中で今日までいちばん深い印象の残っているのはこの書の付録として巻末に加えられた「三つの民謡」のうちの「小栗判官のバラード」であった。日本人の中の特殊な一群の民族によっ・・・ 寺田寅彦 「小泉八雲秘稿画本「妖魔詩話」」
・・・いうこと、次に末広所長を米国に迎えて講演させ、また米国における将来の研究方針についてその助言を求め、また末広式の地震分析器を各所に据え付けて地盤の固有振動の検出を試みよといったようなことが書いてある。巻末に貼紙として添付された刷物には、末広・・・ 寺田寅彦 「工学博士末広恭二君」
・・・文典の巻末にある作文や翻訳の例題と同格な応用数学的論文もなくはない。 近ごろ Heinrich Hackmann : Der Zusammenhang zwischen Schrift und Kultur in China (1928・・・ 寺田寅彦 「数学と語学」
・・・そうして巻末に明治四十三年五月発行と書いてあるので、余は始めてこの書に対する出版順序に関しての余の誤解を覚った。 先生はわが邦歴史のうちで、葡萄牙人が十六世紀に始めて日本を発見して以来織田、豊臣、徳川三氏を経て島原の内乱に至るまでの間、・・・ 夏目漱石 「マードック先生の『日本歴史』」
・・・この小さい日本近代史を中心として、私たちは巻末にあげられている参考文献表の中から、「明治維新」や「新日本史」などを選び出して読むことが出来るし、日本評論社が出版した「明治文化全集」も折々の有益な資料として記憶しておくことは便利であろう。・・・ 宮本百合子 「世代の価値」
・・・また巻末に添えられた六山寅の七古の狂詩に、「四海安政乙卯年」「袷衣四月毎日楽」「往来五日道中穏」等の句がある。乙卯は冬大地震のあった年である。 巻中に名を烈している一行は洒落翁、国朝、仙鶴、宗理、仙廬、経栄、小三次、国友、鳶常、仙窩、料・・・ 森鴎外 「細木香以」
・・・こう云って本を飜しているうちに、巻末に近い Die seele と云う一章が出た。「そこを少し読んで聞かせ給え」と、私は云った。 F君は少し間の悪そうに、低い声で五六行読んだ。声は低いが発音は好い。すらすらと読むのを私は聞いていて、意味・・・ 森鴎外 「二人の友」
出典:青空文庫