・・・一部の終るごとに、わたしは弱気になって、編輯者の重荷になりはしまいかと心配したが、編輯の方では、ほかの雑誌ではしない仕事としてやっているのだからかまわないということで、とうとう第三部までのせ終った。第二部をかきはじめるころ、『新日本文学』に・・・ 宮本百合子 「「道標」を書き終えて」
・・・のつよい日本のように、高名な祖父、或は父が家庭内で支配権をおのずから握っているばかりでなく、世間へ出てまで二言目には先ずあれは誰それの息子、娘として批判の基準をおかれることは、いかばかり苦痛であろう。弱気な若いものが中途半端に萎縮し、すこし・・・ 宮本百合子 「花のたより」
・・・とこの王朝女流作家の輝やかしい文学の中には女性としての世俗的な半面や弱気のあらわれていることをも認め、それをも含めて芸術の全面を暖く評価している。古典を理解するそのような著者の態度からも、与えられるところは少くあるまいと思う。 古典・・・ 宮本百合子 「若い世代のための日本古典研究」
出典:青空文庫