・・・と命名した球形の電磁石がつり下がっており、他の一方には陰極が插入されていて、そこから強力な陰極線が発射されると、その一道の電子の流れは球形磁石の磁場のためにその経路を彎曲され、球の磁極に近い数点に集注してそこに螢光を発する。その実験装置のそ・・・ 寺田寅彦 「B教授の死」
・・・物は人を動かすが、人が又物をいかに強力にうごかすかという人類の能動力その相互関係において有機的に芸術を見、且つ生もうとする段階に到達しているのである。徳永氏が傑れたものとしてあげている『中央公論』六月号のスペイン戦線からの作家たちのルポルタ・・・ 宮本百合子 「明日の言葉」
・・・ ところで、この旅行記一巻の中に、そのように一人の日本女をこね直したほど強力な、ソヴェト同盟の社会生活の全幅がもられているか? いや。ここに集められている旅行記は断片的だ。それに、書きかたが、多く、自分の古い技術のかたによって書かれ・・・ 宮本百合子 「若者の言葉(『新しきシベリアを横切る』)」
・・・ 一九三七年と云えば、中国への侵略戦争を拡大しながら日本の内部のあらゆる部面に軍事的な専制が強力にしかれはじめた時期であった。二・二六事件があったのが前年の三六年のことである。 一九三八年一月から中野重治と私と他に数人の評論家が、思・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第五巻)」
・・・現段階で帝国主義日本の革命的勤労大衆の前衛に課せられている任務は、広汎で具体的な帝国主義戦争反対の闘いであり、帝国主義戦争によって生じるあらゆる矛盾のモメントを内国的にはプロレタリア解放のために有利に強力に転化せしめることであり、そのために・・・ 宮本百合子 「一連の非プロレタリア的作品」
・・・ 強力だから、あばれると一寸相手がない。人々を振りほどいてまた、粗朶火をふり廻す。勘助は、黙って考えていたが、はっきり勇吉の耳元で叫んだ。「なる程、おらわるかった。折角おめえこの家焼きてえちゅうに止めだてしてわるかった。おらもじゃあ・・・ 宮本百合子 「田舎風なヒューモレスク」
・・・にまけることを潔しとせず、プロレタリア文学に反撥する強力な緊張で「寝園」「盛装」に到る境地を築き上げて来た。彼の見事さというものは、謂わば危くも転落しそうに見える房飾つきの水盃を、百尺竿頭に保っている、その際どいかね合いで、拍手は、その緊張・・・ 宮本百合子 「落ちたままのネジ」
・・・そういう姿にある時代錯誤の感じは、単なるハイカラ的見地からでなく現代の世界が使用している武器の機械的な強力さや精緻さは子供だって知っているのだから、女の子がなまじそんな木剣を背負って行進したりするところには、ちかごろ流行の詩吟や黒紋付姿同様・・・ 宮本百合子 「女の行進」
・・・私たちの善意が強力な構成をもったときである。〔一九四六年十月〕 宮本百合子 「現代の主題」
・・・然し、大阪、高知、長野等拡大中央委員会にわざわざ代表が出席した程比較的強力な支部からの報告でさえ、その中には一言も、支部に於ける婦人委員会の問題、婦人大衆に対する文学的働きかけについての対策というものは言及されていなかった。 これは作家・・・ 宮本百合子 「国際無産婦人デーに際して」
出典:青空文庫