・・・現に新聞は共産党への弾圧を挑発するためマ元帥暗殺計画を企てた新井輝成という男の記事を発表している。 当時の中央委員たちによって、スパイとして調べられていた小畑達夫が特異体質のため突然死去したことは、警視庁に全く好都合のデマゴギーの種とな・・・ 宮本百合子 「信義について」
・・・たとえば、「第三に、ファッシズムは、資本主義独裁の形態であり、プロレタリアートへの徹底的弾圧をその中心任務とする。日本の支配権力は自分の地位のため、現体制を守る。〔三四字伏字〕、全面的な攻撃を加える。社会的経済構成としては違った二つの社・・・ 宮本百合子 「新年号の『文学評論』その他」
・・・その肌に添わないところを、社会科学の立場と文学の立場から綜合的に研究して落ついた結論を出すひまのないうちに一九三二年の春の全文化団体への弾圧があり、社会主義的リアリズム論争は、最もみじめなまたみっともない形で、文学における進歩性と階級性の否・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」
・・・負傷者はおよそ二十三万、死刑八百十三人という狂気のようなファシストの弾圧のなかを恐れず婦人労働者は、真のプロレタリア解放とソヴェト同盟を守れ! と叫んで闘っている。 ソヴェト同盟の婦人労働者はどんなことがあっても五ヵ年計画を四年でやりと・・・ 宮本百合子 「ソヴェト同盟の三月八日」
・・・日本の政権が、こんにち言論を抑圧し、正義をまげて労働者階級を弾圧し、民主的発展を挫折させるために、捏造している幾つかの政治的事件の裁判でのように、人民の基本的人権さえも法律によってふみにじられることはあり得ないからです。 一九四九年十月・・・ 宮本百合子 「宋慶齢への手紙」
・・・ 産別会議情報宣伝部が編輯し、出版した『官憲の暴行』という戦後労働運動弾圧の記録がある。現場の労働者によってかかれたらしいこの記録が、もっと各現場組合の文学的能力を生かしていたら、どんなに浸透的で永続する読後感を一般の読者に印象づけるこ・・・ 宮本百合子 「その柵は必要か」
・・・われわれに対する枠は、いわゆる吉田民自党内閣のわれわれに対する政策は、反共国民運動によって労働組合を弾圧し、共産党に対する弾圧をする。これは新聞でもはっきりしている。そういう反共国民運動の枠、その枠であるということを私は感じてきたわけであり・・・ 宮本百合子 「それに偽りがないならば」
・・・ 終戦後、世界に類のなかった日本の文化弾圧は一応終熄されて、俄に総てのことを云い、又書きしてよいことになった。雑誌の編輯者や出版者たちは、競って進歩的であり、民主的であらねばならないことになった。過去十数年に亙った政府の精神圧殺方針に対・・・ 宮本百合子 「「どう考えるか」に就て」
・・・制テロルによって虐殺されたわがプロレタリア文化・文学運動の卓抜なる指導者、組織者、国際的規模におけるボルシェヴィク作家、同志小林多喜二の全国的労農葬は、プロレタリアの恨みの日三・一五記念日を期して敵の弾圧に抗し、東京はじめ各地において敢行さ・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価に寄せて」
・・・家康がキリシタン弾圧を始めたのは、それより五、六年後のことである。 家康に『貞観政要』を講義した藤原惺窩は、いかなる特殊の内にも普遍の理が存することを力説した学者であった。海外との交通の手助けなどもしている。そう眼界の狭い学者であったと・・・ 和辻哲郎 「埋もれた日本」
出典:青空文庫