・・・もう一つの見方は、この方程式の後尾へそれ自身に小さくまた沢山の場合の平均が零に漸進するような無限級数を附加して考えるのである。平たく云えば、方則というものを一種の平均の近似的の云い表わしと考えるのである。そうすれば方則というものはよほど現実・・・ 寺田寅彦 「方則について」
・・・しかも最後の車台が通りすぎようとしたとき 一人のカーキ色服の男が、最後尾の棒につかまって雨にぬれ乍ら外につら下っているのが目にとまった。○河村の家ではきょう板じきに石臼を出して粉をひいている。○きのうは鍛冶屋の仕事仕度・・・ 宮本百合子 「無題(十二)」
・・・「潜水艦にもかけてみましたが、これは、うっかりして、後尾へ当っちゃったものだから、浮きあがる筈のやつが、いつまでも浮かないんですよ。気の毒なことをした。でも、まア、仕様がない、国のためだから、我慢をしてもらわなきゃア。」 ちょっと栖・・・ 横光利一 「微笑」
出典:青空文庫