・・・河内の高屋に叛いているものがあるので、それに対して摂州衆、大和衆、それから前に与一に徒党したが降参したので免してやった赤沢宗益の弟福王寺喜島源左衛門和田源四郎を差向けてある。また丹波の謀叛対治のために赤沢宗益を指向けてある。それらの者はこの・・・ 幸田露伴 「魔法修行者」
徒党は、政治である。そうして、政治は、力だそうである。そんなら、徒党も、力という目標を以て発明せられた機関かも知れない。しかもその力の、頼みの綱とするところは、やはり「多数」というところにあるらしく思われる。 とこ・・・ 太宰治 「徒党について」
・・・ただもう、命が惜しくて、金が惜しくて、そうして、出世して妻子をよろこばせたくて、そのために徒党を組んで、やたらと仲間ぼめして、所謂一致団結して孤影の者をいじめます。 私は、負けそうになりました。 先日、或るところで、下等な酒を飲んで・・・ 太宰治 「美男子と煙草」
・・・ このコンムーナへ徒党が押しよせたってことが伝わった時、四十露里あっちから赤軍分遣隊がやって来て呉れた」「えれエ小面倒な名前だよウ」 そう云ったのは五十九のティトフだ。 ブリーノフが云った。「パンフョーロフは集団農場のことを聞い・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・この仕事には仲のいい徒党があつまっていた。モルト人の乞食の十歳になる息子のサーニカ。大きい黒い目をした身よりのないカストローマ。十二歳の力持ちのハーヒ。墓地の番人で癲癇持ちのヤージ。一番年かさなのは後家で酒飲みの裁縫女の息子グリーシュカ。こ・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・けれども、屑拾い小僧であり、板片のかっぱらいであった小さいゴーリキイを、かっぱらいの徒党のうちへつなぎきりにしなかった彼の天質の健全な力が、この場合にも一つの新しい疑問の形をとってその働きを現わした。これらの連中は、いつ、何を話してもとどの・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの発展の特質」
・・・ 一人は五十前後だろう、鬼髯が徒党を組んで左右へ立ち別かれ、眼の玉が金壺の内ぐるわに楯籠り、眉が八文字に陣を取り、唇が大土堤を厚く築いた体、それに身長が櫓の真似して、筋骨が暴馬から利足を取ッているあんばい、どうしても時世に恰好の人物、自・・・ 山田美妙 「武蔵野」
出典:青空文庫