・・・小作料を徴収したり、成墾費が安く上がったりしたことには成功したかもしれませんが、農場としてはいったいどこが成功しているんでしょう」「そんなことを言ったってお前、水呑百姓といえばいつの世にでも似たり寄ったりの生活をしているものだ。それが金・・・ 有島武郎 「親子」
・・・、とり上げられる税をこの情勢推移の急な時代に四年間支払猶予され、事実上支払わないでもすんでしまいそうな上、出しただけの金は形を変え口実を新しくして堂々めぐりでまた元の懐に戻って来る仕組みになっている。徴収した金は大衆がその中の一割とすこしし・・・ 宮本百合子 「女の手帖」
・・・このため一九二一年までの単一経済組織における農産品の現物税徴収では、ソヴェト政府と都会のプロレタリアートとが大難儀を経験した。 工場に働く労働者とまるで伝統が違い感情もちがう多数の富農・中農民は、永年に亙る非人間的生活にうちのめされ、個・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・の立場にかわりはないばかりか、一家の柱として供出、税、どれひとつ男の戸主がいるときどおりにとり立てられ、増加して徴収されていないものはないのが現実です。 現在日本には一千万人の小学生がいます。憲法では、小中学校教育は親に負担とならないも・・・ 宮本百合子 「願いは一つにまとめて」
・・・税務署も、文筆家は、ほかの勤労とちがうとして、開業医、弁護士なみの所得税徴収の基準をたてている。私たちは、作家という社会的な仕事を、現実に自分の企業として行っていない。労作の努力、そのかげにかくされた永い歳月の辛苦、それらは一枚いくらという・・・ 宮本百合子 「文化生産者としての自覚」
・・・ところが、ラジオの解説によると、戦時利得税徴収の方法と、集めた金の処分方法は私たちに極めて奇異な感じを抱かせる。一定以上の高額税は、四ヵ年支払延期の許可がある。毎日の暮しを見ていれば、僅か三ヵ月でさえ経済事情は大変化しているのに、これから先・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫