・・・の紡績工場から故郷のその村に向って汽車にのっているヨシノとサダ子につれられて、二人の娘の気質の相異を理解しながら、読者は次第に北国へ向い、やがて峯子に出会ってA村に入ると、そこには、貧農の息子でのちに急進的に行動する清司、動揺する地方の人道・・・ 宮本百合子 「作家への課題」
・・・第一は、只さえも保守的な退嬰主義に堕し易い女性一般の傾向を暗々裡に称揚する事になると同時に、他方では、一層反動的、爆発的の急進を促す事になるからでございます。其で、私は此から、私の出来る丈の細密な思考を廻らして、私の出来る丈公平な、出来る丈・・・ 宮本百合子 「C先生への手紙」
・・・プロレタリアとして十分自覚を持たずプロレタリアの革命を知らない労農大衆でさえ急進的なインテリゲンチア、小市民を含んで、自然発生的に搾取と横暴に反抗しつつある。その度はますます高まるでしょう。このような社会的条件のもとにいよいよ広汎に生れるま・・・ 宮本百合子 「社会主義リアリズムの問題について」
・・・て長谷川如是閑氏や吉野作造氏の序文がついていることから、当時は全くわからなかったが、その井口という人が新人会初期の時代に青年期を生活した人であったことを理解し、当時の進歩的であった大学生の生活と今日の急進的学生の生活内容との間にある違いの大・・・ 宮本百合子 「生活の道より」
・・・深見進介は、急進的な学生のグループに接触しつつ「そのグループしかゆくべきところ、生きるべきところはないと知りつつ、彼の全機能でそれを感じつつ、一つにかさなりあえず」苦しんでいる。それは自分の政治的認識が不足だからだとも思うが、なお「心がふれ・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」
・・・「自由主義左翼の同伴者作家もプロレタリア文学発展のためにも確になる」「急進的小ブル作家や進歩的自由主義作家」などが「労働者農民出の作家批評家たちとともに広はんに同盟に吸収されなければならぬ」そして、同志藤森は同志林とともに、かりに自分たちが・・・ 宮本百合子 「前進のために」
・・・ 又、この一篇の自伝的小説をよむものは、日本の解放運動においては、その初めから雑階級にまで急進思想がひろがっていたこと、及び、プロレタリア文学運動の先進者が勤労階級出身であるとしても一面にどのような歴史性をもって立ち現れているのであるか・・・ 宮本百合子 「『地上に待つもの』に寄せて」
・・・アメリカのオクラホマ州の貧農の家に生れ、後コロラドの鉱山町にうつり、非常な貧困と闘って苦学し、遂に急進的なジャーナリストとして活動するに至るまでのアグネスの生活が、大胆に描き出されているのであるが、一人の女によって書かれているこの一冊の本が・・・ 宮本百合子 「中国に於ける二人のアメリカ婦人」
・・・彼は、サン・シモンの今日から見れば空想的な社会主義を勉強した急進的学生として、特にロシア民族の発達のために農奴制廃止を熱心に主張した一人であった。 一八四二年にゴーゴリが死んだ。その時、ツルゲーネフは極めて自然の感情の発露によってゴーゴ・・・ 宮本百合子 「ツルゲーネフの生きかた」
・・・抑圧されていた日本文化の急進性はこんなにも豊富であったのか、と一夜に開いた花園の絢爛さに瞠目するよりは、むしろ、反対の印象があるように思える。例えば、余り体力の強壮でない中学の中級生たちが、急に広場に出されて、一定の高さにあげられた民主主義・・・ 宮本百合子 「「どう考えるか」に就て」
出典:青空文庫