・・・ 兎角する中議論はさて措き、如何に痩我慢の強い我輩も悠然としてカッフェーのテーブルには坐っていられないようになった。東京の新聞紙が挙って僕のカッフェーに通うのは女給仕人お民のためだという事を報道するや、以前お民をライオンから連出して大阪・・・ 永井荷風 「申訳」
・・・もって悠然、世と相おりて、遠近内外の新聞の如きもこれを聞くを好まず、ただ自から信じ自から楽しみ、その道を達するに汲々たれば、人またこれに告ぐるに新聞をもってする者少なく、世間の情態、また何様たるを知らず、社中自からこの塾を評して天下の一桃源・・・ 福沢諭吉 「中元祝酒の記」
・・・「女王は女王らしく泰然として一家に君臨し、悠然として奉仕されているのこそ身分柄定められた掟でもあり云々」と「繊手に爆弾をとりあげては見たものの」投げる対手はないことになって「時津風枝も鳴らさぬ平和主義」の主観的女権尊崇の栄光を讚していられる・・・ 宮本百合子 「昨今の話題を」
出典:青空文庫