・・・然し実際の人生から得る経験は、好んで為す場合よりも遙かに多く別種の力によって、われ/\の所期以外の経験を味わしめる場合がある。と同時に限られたわれ/\の力では、何もかも味いつくすというわけにいかないのである。そればかりか、若い人々にとっては・・・ 小川未明 「文章を作る人々の根本用意」
・・・ 農民の生活を題材として取扱う場合、プロレタリア文学は、どういう態度と立場を以て望むか、そして、どういう効果を所期しなければならないか、ということは、大体原則的には、理解されていた。それは、「土の芸術」とか「農村の文化」とか、農村を都市・・・ 黒島伝治 「農民文学の問題」
・・・「しかし、果して所期の成果をおさめておりますかどうかは、専門家の方々と海外の観衆の批判にまたなくてはなりません」 何となし、きいていて変な気がした。日本では、そういうことのわかるのは専門家だけで、海外なら一般の観衆のレベルがそこまで高い・・・ 宮本百合子 「国際観光局の映画試写会」
・・・「所期の成果をおさめて居りますかどうかは、専門家の方々の御意見と海外の観衆の批判にまたなければならないところであります」そういう意味の言葉であった。 それをきいていて私たちは何となし妙な気がした。日本のなかでは、専門家にしかその映画・・・ 宮本百合子 「実感への求め」
出典:青空文庫