・・・この篇は写生文を品評するに当ってその条項の一となるべき者を指摘してわが所論の応用を試みたものである。 夏目漱石 「写生文」
・・・ そもそも今日の社会に、いわゆる宗旨なり、徳教なり、政治なり、経済なり、その所論おのおの趣を一にせずして、はなはだしきは相互に背馳するものもあるに似たれども、平安の一義にいたりては相違うなきを見るべし。宗旨・徳教、何のためにするや。善を・・・ 福沢諭吉 「教育の目的」
・・・実に簡潔明瞭なる所論であります。 然るにこの典型的論理に私が多少疑問あることは最遺憾に存ずる次第であります。 第一に博士の一九二〇年代に適するようにクリスト教旧神学中より抽出されました簡潔の神学はただこの語だけで見ますればこれいかに・・・ 宮沢賢治 「ビジテリアン大祭」
・・・ 純文学、私小説は、その語りてである知識人の社会生活の狭隘化と弱化につれて貧困になっているのであるから、その不満・反省の一形態として、横光氏の所論は反響をもった。共感は自意識の問題や、近代人の偶然性の説明に対する漠然とした疑いを含みつつ・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・所謂キリスト教の精神によって、アメリカは従来サンガー夫人たちの所論を公然とは認めていなかった。ただ、必要な場合の医療的処置としてうけ入れていたのであったが、昨今は急に産児を制限する範囲のことは賢い親の義務の一つであるとして、カソリックの坊さ・・・ 宮本百合子 「夜叉のなげき」
出典:青空文庫