・・・ 彼那強そうな体のお叔父ちゃんが勿論繃帯はして居たにしろ急に死んでもうじきお葬式をして埋めて仕舞うと云う事は、あんまり手順が早すぎる様な心持がした。 死ぬなんて一体どうなるものかしら妙な事だとより思えなかったのである。 私は母の・・・ 宮本百合子 「追憶」
・・・ けれ共ごく稀には、自分の日常生活の習慣に支配された様な形になって、純にその人の精神なり何なりに接せずには居られないと云う感じより、読まなくちゃあならないと云う謂わば一日中の手順を狂わせる心持悪さから一枚なり一枚なり読む事がある。 ・・・ 宮本百合子 「無題(四)」
・・・ こういう手順で我々の聴くラジオは目下一日平均一四時〇九分間放送されているのである。プログラムは年々変遷して、昭和十年以後は子供の時間と慰安が漸減し、頓に報道と教養とが増して来ている点が注目される。報道は図表によって見ると、その五三%ま・・・ 宮本百合子 「「ラジオ黄金時代」の底潮」
・・・第二次世界大戦はこういう手順でナチスによって放火された。 その前後のことだった。わたしは、たぶん『新女苑』であったかに、一人のフランス女学生の手記がのっているのを読んだ。いま、その名を思い出すことのできない若いソルボンヌ大学の女学生は、・・・ 宮本百合子 「私の信条」
出典:青空文庫