・・・あばた面が少年を揺すり起こしました。そして、小さい声で、「おまえは、昨日どこでもらってきた。」とききました。少年は四つ街道のところにすわっていたこと、そして、開帳へゆく人々に道を教えたことまで、すっかり話をしました。「なるほどな。」・・・ 小川未明 「石をのせた車」
・・・と、老人は頭を左右に揺すりました。(そうだろうとも、だれが、こんなものを見てやるものだ。このばかな女でもなければ、一目見て追い帰すにちがいない。いったい、医者というものをなんと心得「おじいさん、せっかくだが、私は、これから急病人の迎・・・ 小川未明 「三月の空の下」
・・・ しかし、いまは、そのときの傷痕も古びてしまって、幹には、雅致が加わり、細かにしげった緑色の葉は、ますます金色を帯び、朝夕、霧にぬれて、疾風に身を揺すりながら、騎士のように朗らかに見られたのであります。 冬でも、この岩穴の中に越年す・・・ 小川未明 「しんぱくの話」
出典:青空文庫