・・・月々の月給を、適当に支給する丈の資力はあり、全くの必要からでその人の助を期待している家庭では、心こそ同情に燃えながら、半歳の療養を完全に与えることさえ、実際には不可能なことです。 又たとい、如何程経済状態は良好であるにしろ、今日、そう云・・・ 宮本百合子 「ひしがれた女性と語る」
・・・出産仕度金は月給の半額まで支給され、ソヴェト同盟の労働法は姙娠五ヵ月以上の婦人労働者と、生れて十ヵ月未満の赤坊を抱えた婦人労働者は、殆んど絶対に解雇することは許されない。 こないだまでの世の中とは何という違いだろう! 支配人の顔なんぞ見・・・ 宮本百合子 「プロレタリア婦人作家と文化活動の問題」
・・・よしんば衛生材料が多少不足していても四日間でコンスタンチノープルから支給されるのだから、と。その言葉にもかかわらずフロレンスは女の勘で、いろいろな材料と金とをどっさりたずさえて、さて、到着したスクータリーの陸軍病院は、彼女の一行をどういう有・・・ 宮本百合子 「フロレンス・ナイチンゲールの生涯」
・・・出産支度料を月給の半額まで支給する。九ヵ月間牛乳代を貰える。そして、各区の産院は無料だ。 その産院を、現実にこの眼で見学したくてやって来たのだ。「勿論結構です」 奥から看護婦が白い上っぱりをもって来てくれた。チビの自分には長くて・・・ 宮本百合子 「モスクワ日記から」
・・・学校は食事も勉強に必要な学用品類をも文部省から支給されている、子供は勉強に必要なものは学校へ行けば有る。昨日Aという子が使ったものを、今日は自分が使う。明日いらなければ別の子がそれを使う、みんなにそれは必要な品である。必要だから皆が使う権利・・・ 宮本百合子 「露西亜の実生活」
・・・その主権者として、封建時代の数百年小大名より僅かな扶持を幕府から支給されて生活して来た京都の天皇一家を招待して来た。明治支配者の利害を共にするために天皇の一家も大地主となり、大財閥に勝るとも劣らない大資本家となった。所有土地百三十五万町歩、・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫