・・・国内的にはプロレタリアートの指導権が統一確立され、ぐるりをとりまく資本主義国間の矛盾に面して社会主義人民政権として独自の立場から対処する能力が備った。芸術の創作方法が、第一次五ヵ年計画を境として、初期の、唯物弁証法的創作方法から、社会主義的・・・ 宮本百合子 「作家の経験」
・・・ 一九三三年二月二十七日、政権をとって一ヵ月のナチスがゲーリングを先頭にしてドイツ国会放火事件を仕組んだ。放火人ファン・デア・ルッベは共産党員と自白し、後生大事に党員証を身体につけていた。しかし裁判で、ルッベがナチスのまわしものとしての・・・ 宮本百合子 「「推理小説」」
・・・ソヴェト婦人部は文化部の事業として、この農村ソヴェト選挙準備のための夏期講習会を組織した。 期間。二ヵ月。 課目。ソヴェト政権とはなにか。世界の経済。党史。数学。ロシア語。 今ここで、勉強している農婦、妻であり、母である彼女たち・・・ 宮本百合子 「スモーリヌイに翻る赤旗」
・・・ドイツの人々が、日に日に増大する黒衣の女性をみて、ナチス政権がしかけた戦争が、そのようにドイツ民族を殺しつつあることを知るのをおそれたのであった。日本でも、戦争中戦傷者の発表が奇妙な形で行われた。だんだん小きざみに、部分的に、私たちには総数・・・ 宮本百合子 「世界の寡婦」
・・・ その日のために、ロシアのプロレタリアートと農民は、監獄、銃殺、流刑と、あらゆる迫害を徹して闘い抜き、遂に一九一七年十一月七日、働く者の国、プロレタリア独裁のソヴェト政権を確立したのです。 この地球はじめての人間らしい憲法がきめられ・・・ 宮本百合子 「ソヴェト同盟の婦人と選挙」
・・・日本の政権が、こんにち言論を抑圧し、正義をまげて労働者階級を弾圧し、民主的発展を挫折させるために、捏造している幾つかの政治的事件の裁判でのように、人民の基本的人権さえも法律によってふみにじられることはあり得ないからです。 一九四九年十月・・・ 宮本百合子 「宋慶齢への手紙」
・・・本的に解放するキイ・ポイントがどこにあるかということについては、実に信じられないほど僅かしか知らず、漠然としかしらず、しかもその僅少な理解と漠然たる翹望は、今日、ちっとも民主的でもないし、正直でもない政権の頑迷執拗なねばり存続によって、けが・・・ 宮本百合子 「誰のために」
・・・そのものが地上にふかく舞い下りて、地の塩とならないにしても、その刺戟から更に新鮮な機運がわき出て、一九三三年ごろエリカ・マンがナチス政権のもとで組織していた「ペッパーミル」に似た演劇団が生れるかもしれない、そういうところへまで思いをはせれば・・・ 宮本百合子 「人間性・政治・文学(1)」
・・・だから五年後に家康が政権を握ったときには、彼は、秀吉が征明の役を起こした時と同じ年齢であったが、秀吉とは全然逆に、学問の奨励をもっておのれの時代を始めたのである。慶長四年の『孔子家語』、『六韜三略』の印行を初めとして、その後連年、『貞観政要・・・ 和辻哲郎 「埋もれた日本」
・・・彼らはこの集団の力によって政権を握り、その権力によって各自の私利をはかろうとする。しかし政治はかくのごときものであってはならない。明治大帝の詔にいう、「官武一途庶民に至るまで、各々そのこころざしを遂げ、人心をして倦まざらしめんことを要す」と・・・ 和辻哲郎 「蝸牛の角」
出典:青空文庫