・・・父である牧師は、自分の教会と牧師である自身の体面が全教区の前に傷つけられたということばかりを心痛している。娘に対して最も寛容でないのは、神の召使いである父親であった。 ある日、不幸な女主人公は、小さい赤ン坊をつれて動物園へ行っていた。そ・・・ 宮本百合子 「傷だらけの足」
・・・一九一七年までその教師は近所の村の教区学校の教師をしていた。コンムーナが出来るとそこの学校で教えはじめた。ガッチリした四十がらみの男で、ツルの曲った粗末な眼鏡をかけ、時によると、校舎の外の草っ原へ机と腰かけをもち出し、コンムーナ員の誰かをつ・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・ ロザリーは、英国のイボッツフィールドの教区長の末娘に生れました。 父親は、ケムブリッジ大学を卒業し、ひとから未来を属望され、自分も大いに活動する気でいたところが、彼の盲滅法な性質から、深い考えもなく或る私塾を開いている牧師の娘と恋・・・ 宮本百合子 「「母の膝の上に」(紹介並短評)」
出典:青空文庫