・・・そうして、明くる日の朝、目を開いてみますと、不思議にも、一人の娘のまくらもとには、みごとなくしと、光った高価な指輪がありました。また一人の娘のまくらもとには、いいオルガンがありました。そうして、もう一人のちぢれ髪の娘のまくらもとには、赤いと・・・ 小川未明 「夕焼け物語」
・・・ その明くる日になると雪が降っていました。朝、甲・乙・丙・丁の四人の子供は、たがいに誘い合って学校へ出かけました。路ばたのすぎの木の枝は雪がたまってたわんでいます。そして、その下を通るときには、くぐってゆかなければなりません。寺の横を通・・・ 小川未明 「雪の国と太郎」
・・・して夫婦になったり、恋の病に罹ったり――もっとも近頃の小説にはそんな古風なのは滅多にないようですが、それからもっと皮肉なのになると、嫁に行きながら他の男を慕って見たり、ようやく思が遂げていっしょになる明くる日から喧嘩を始めたり、いろいろな理・・・ 夏目漱石 「文芸の哲学的基礎」
出典:青空文庫