・・・利休は当時において言わず語らずの間に高慢税査定者とされたのである。 利休が佳なりとした物を世人は佳なりとした。利休がおもしろいとし、貴しとした物を、世人はおもしろいとし、貴しとした。それは利休に一毫のウソもなくて、利休の佳とし、おもしろ・・・ 幸田露伴 「骨董」
・・・人民の所得は戦前の百倍と査定している政府が、百二十六倍の税額を払わせる時、私たちの文化費はどこに残るでしょう。文化と文学の発展は、社会の生産や権力の性質とこんなにも切りはなせないものだということを、本年度はすべての人が切実に発見する年でもあ・・・ 宮本百合子 「一九四七・八年の文壇」
・・・そして、政府は、日本の人民所得額は戦前の百倍と査定しているのに税率は百二十六倍になっています。このひらきを、私たちはどうやりくって来たのでしょう。ここに人間業と思われないような辛苦があるわけです。 生めよ、ふやせよと叫ばれた婦人が、きょ・・・ 宮本百合子 「婦人大会にお集りの皆様へ」
・・・二万円という査定はどのようにされるか、これは重大な問題でなければならない。そしてこの財産税もつまるところは、また形を変えて最も富める者から順に大衆へと返されて行く。こうして見ると、それが発表された時には、さも財閥に対する正当な良心ある統制の・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫