・・・そういう心でよんでみれば、古典から現代作家の、国内国外のあらゆる作家が、それぞれに見事な業績をのこしながらも、ほんとに自分の云いたいこと、あらわしてみたい心、描きたい情景だけは、誰もかいていないことを見出して、どんなおどろきと、新しい世界の・・・ 宮本百合子 「新しい文学の誕生」
・・・文学は、今日もう単なる個人の業績の問題ではなくなった。文学が歴史の鏡であるという事実はいよいよ明白である。 一九四七年十月〔一九四七年十二月〕 宮本百合子 「あとがき(『作家と作品』)」
・・・は一つの文学的現象にしかすぎず、或る程度まで評価された一つの文学的業績にとどまった。そして、そのように評価したのは、所謂旧文壇であり文学愛好者のせまい輪であったことは興味がある。中産階級やインテリゲンツィアの革命性とその価値について十分把握・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第六巻)」
・・・こんにちの歴史の下では、単にロシア国内の事情というにとどまらず、世界の人民の業績の一つの典型として感じとられるこれらの印象記や報告が一冊の本にまとまって出ることはうれしい。 発表当時、会話が棒ではじまっていたり、くせのあるてにをはがつか・・・ 宮本百合子 「あとがき(『モスクワ印象記』)」
・・・二人の作家の業績は、明治、大正、昭和に亙って消えない意義をもっている。そのことをつよく感じる人々は、同時に、この二人の作家が全く対蹠的に一生を送ったことについても、浅からぬ感銘を与えられているのではなかろうか。 同じ死ということでも、藤・・・ 宮本百合子 「あられ笹」
・・・ 今日、ある程度文学的業績をかさねた作家を見ると、ほとんど四十歳前後の人々である。それからあとにつづく、より若い、より未熟ではあるが前途の洋々とした作家というものの層は、空白となっている。このことは、とりもなおさず、過去の文学の休止符は・・・ 宮本百合子 「歌声よ、おこれ」
・・・ 画家の本道的な業績を、大局からみてこの新しい関係が高めたか、或は通俗に堕す部分を生ぜしめたかということは簡単に云い得ないけれども、文学についてみれば、或る作家たちが目下器用にこなしているこの両刀使いの方法は、少くとも、作家と読者との関・・・ 宮本百合子 「おのずから低きに」
・・・「このような精力と熱情をもち、戦友に対してこれほどの献身をもつ婦人が、四十年近い間に運動のために尽した業績――このことは何びとも語らず、この事は同時代の新聞にも記録されていない。しかし私は知っている。コンミューン亡命者の婦人達がしば・・・ 宮本百合子 「カール・マルクスとその夫人」
・・・も、それらの科学の業績に立って書かれた本として読まれてもよいものであろう。人間は生物として自然科学の対象であるばかりでなく、社会をつくって来た民族の歴史からも見られる意味で、イギリスの人類学と民族学の教授ハッドンの書いた「民族移動史」は、地・・・ 宮本百合子 「科学の常識のため」
・・・ 成功の冠は、一九〇四年、ピエールが四十五歳、マリヤが三十六歳の年、ラジウムを発見した業績によって、世界的に彼等の上にもたらされました。ノーベル賞を与えられた彼等は科学者として最高の名誉の席につかせられ、学界からおくられる称号、学位の数・・・ 宮本百合子 「キュリー夫人の命の焔」
出典:青空文庫