・・・そして、頻りに、「これは私の老婆心からだが、あなたなんぞもここで大いに将来を考える時だね、この様子じゃ、決して楽観は出来ませんよ……やるなら死ぬ覚悟だ」と云い、そういう時は、特別声を潜め、言葉をひきのばして云うのである。 当日軍・・・ 宮本百合子 「刻々」
・・・ 現代の日本女性に就て公平に考えて見ると、或種の人々の考えて居るように、楽観すべきものでも無く、或人々の只一口にけなす程価値の無いものでもございません。教育家の一部が易々諾々として教案を草し、その教案によって百年一日の如く恐ろしい厭怠の・・・ 宮本百合子 「C先生への手紙」
・・・ そのような現実のいきさつを文化の問題として大局から見たとき、はたして婦人の文化能力の高揚と楽観していい切ることが可能であろうか。私たちはやはり率直に、転換期として今日現れている文化一般の混乱、低下を認めなければならず、いわば婦人作家の・・・ 宮本百合子 「婦人の文化的な創造力」
・・・ 明治以来の日本の支配者が人民に植えつけた戦争観をそっくりそのままもっている大多数の人々は、相変らずそれをさけられない投機的な災難として楽観的にうけとった。弱い日本の資本主義がどんな危険な冒険に着手したかということを人民から覆うために国・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
・・・けれども、動員法によって動員された学徒、女子勤労挺身隊などの勤労状況は決して楽観すべきものではなかった。戦争遂行者たちは夢中で軍需生産の拡張を希望しているから、実際は全くインチキな施設と内容としか持たない工場でも、それが軍関係のものであって・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫