・・・、七組 蕪菁播種 第三、四組 甘藍中耕 第五、六組 養蚕実習 第二組(午后イギリス海岸に於て第三紀偶蹄類の足跡標本を採収すべきにより希望者は参加 そこで正直を申しますと、この小さな「イギリス海・・・ 宮沢賢治 「イギリス海岸」
・・・ 清助は、大力な、髭むじゃな、字の読めない正直な金持の百姓であった。彼は仙二の立場をよく理解した。 三 村役場と村役場、村役場と姪の一家族。交渉はなかなか手間どった。永年住んでいたものだから、毎月敷生村・・・ 宮本百合子 「秋の反射」
・・・『そんな嘘が、そんな嘘が――正直ものを誣るような、そんな嘘が言えるものなら!』 かれは十分弁解した、かれは信ぜられなかった。 かれはマランダンと立ち合わされた。マランダンはどこまでも自分の証拠をあげて主張した。かれらは一時間ばか・・・ 著:モーパッサン ギ・ド 訳:国木田独歩 「糸くず」
・・・更に反対の方面を見ると、信仰もなくしてしまい、宗教の必要をも認めなくなってしまって、それを正直に告白している人のあることも、或る種類の人の言論に徴して知ることが出来る。倅はそう云う人は危険思想家だと云っているが、危険思想家を嗅ぎ出すことに骨・・・ 森鴎外 「かのように」
・・・このような話の真実性は、感覚の特殊に鋭敏な高田としても確証の仕様もない、ただの噂の程度を正直に梶に伝えているだけであることは分っていた。しかし、戦局は全面的に日本の敗色に傾いている空襲直前の、新緑のころである。噂にしても、誰も明るい噂に餓え・・・ 横光利一 「微笑」
・・・子供の泣くのを叱っていました。おしまいには私も子供といっしょに大声をあげて泣きたくなりました。――何というばかな無慈悲な父親でしょう。子供の不機嫌は自分が原因をなしていたのです。子供の正直な心は無心に父親の態度を非難していたのです。大きい愛・・・ 和辻哲郎 「ある思想家の手紙」
出典:青空文庫