・・・第一、明治の初めはフランスの影響を受けて自由民権の思想が盛んで、男も女も一人の人民として平等の権利を持って社会を建設して行くべきだという観念があって、その頃の女は男と同じ教育程度を持つようになっていた。けれども、明治二十二年に憲法発布になっ・・・ 宮本百合子 「婦人の創造力」
・・・自由民権の云われた時代の作物が、今日なお面白く、或る気魄によって読ませるのは、筆者の全生活がかかる社会的現実の上に活きていたからである。当時の文筆家は、実際に新興ブルジョアジーが最も必要とした文明開化の輸入者、供給者、啓蒙者であった。所謂要・・・ 宮本百合子 「文学における今日の日本的なるもの」
・・・と、堂々発言した人権、或は民権の主張は、どういう論理の間違いからか「人」の規定のなかに入れられていない筈の世襲の特権・門地・特権地位者を、引出して来て、肝心の主権をそっくり人民の手の中から其方へ握らせているのである。 主権在民ということ・・・ 宮本百合子 「矛盾とその害毒」
・・・明治初年の開化期の男女は、政治において男女同等の自由民権を主張したとおり、急進的に男女の自由な相互の選択を主張した。自由結婚という言葉が、この時代の人々の行動を通して今日までつたわって来ている。 日本におけるこの時代は非常に短く、それは・・・ 宮本百合子 「若き世代への恋愛論」
・・・ 憲法発布以前、封建の重荷を脱して新しい日本の社会を作ろうとする気運が純粋に高まっていた時代、その先頭に立ったのは板垣退助を首領として自由民権を唱え、一八八一年に結成された自由党の人々であった。自由民権というとき、当時の日本人は必ず男女・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫