・・・郡山、好地、花巻、黒沢尻、金が崎、水沢、前沢を歴てようやく一ノ関に着す。この日行程二十四里なり。大町なんど相応の賑いなり。 十八日、朝霧いと深し。未明狐禅寺に到り、岩手丸にて北上を下る。両岸景色おもしろし。いわゆる一山飛で一山来るとも云・・・ 幸田露伴 「突貫紀行」
・・・その前の日はあの水沢の臨時緯度観測所も通った。あすこは僕たちの日本では東京の次に通りたがる所なんだよ。なぜってあすこを通るとレコードでも何でもみな外国の方まで知れるようになることがあるからなんだ。あすこを通った日は丁度お天気だったけれど、そ・・・ 宮沢賢治 「風野又三郎」
・・・僕水沢の天文台で見ましたがね。」「まあ、あたしも見たいわ。」「見せてあげましょう。僕実は望遠鏡を独乙のツァイスに注文してあるんです。来年の春までには来ますから来たらすぐ見せてあげましょう。」狐は思わず斯う云ってしまいました。そしてす・・・ 宮沢賢治 「土神ときつね」
・・・こんにちまでに編輯長は、松岡洋子、湯浅芳子、厚木たか子、水沢耶奈子とうつってきた。のりと鍋と刷毛とをもって、生れ出る婦人民主新聞のためにビラをはって歩いた初代の編輯長櫛田ふきののちに。 婦人民主新聞は、これらの人々の努力と読者の支援によ・・・ 宮本百合子 「その人の四年間」
出典:青空文庫