・・・議会でも暴露の泥仕合にのみ忙しくして積極的に肝要な国政を怠れば真面目な国民は決して喜ばないであろうと同様に、学位授与の弊害のみを誇大視して徒らにジャーナリズムの好餌としていては、その結果は却って我邦学術の進運を阻害するようなことに多少でもな・・・ 寺田寅彦 「学位について」
・・・三十年間にうけた抑圧との闘いによってプロレタリアとして目覚めた一移民労働者が、今や彼の賃金を百ドルから七十ドルに切り下げる恐慌に対して、利害の衝突する二つの資本主義国家間の泥仕合的排外主義に対し、ピオニイルの養成にも熱誠を示すというようなの・・・ 宮本百合子 「一連の非プロレタリア的作品」
・・・――これをただ、仲間の泥仕合という風に嗤うのは間違いだ。まして、読んだでしょう? 中村武羅夫が朝日で云ってること。つまり、初め既成文壇の勢力がつよかったからその敵に向って塊りあってたプロレタリアート作家が、この頃安心してモロくなって・・・ 宮本百合子 「ニッポン三週間」
出典:青空文庫