・・・なるものなれども、医師の聴機穎敏ならずして必ず遺漏あるべきなれば、この法を研究するには、盲人の音学に精 ひとり医学のみならず、理学なり、また文学なり、学者をして閑を得せしめ、また、したがって相当の活計あらしむるときは、その学者は決して懶・・・ 福沢諭吉 「学問の独立」
・・・第二に活計の道、渡世の法を求めて衣食住に不自由なく生涯を安全に送ること。第三に子供を養育して一人前の男女となし、二代目の世の中にては、その子の父母となるに差支なきように仕込むことなり。第四に人々相集まりて一国一社会を成し、互いに公利を謀り共・・・ 福沢諭吉 「家庭習慣の教えを論ず」
・・・ 右条々のごとく、上下両等の士族は、権利を異にし、骨肉の縁を異にし、貧富を異にし、教育を異にし、理財活計の趣を異にし、風俗習慣を異にする者なれば、自からまたその栄誉の所在も異なり、利害の所関も異ならざるを得ず。栄誉利害を異にすれば、また・・・ 福沢諭吉 「旧藩情」
・・・その実は、天道にしたがって徳を脩め、人の人たる知識・聞見を博くし、物に接し人に交わり、我が一身の独立をはかり、我が一家の活計を立ててこそ、はじめて万物の霊というべきなり。 古来、支那・日本人のあまり心付かざることなれども、人間の天性に自・・・ 福沢諭吉 「中津留別の書」
・・・人間衛生の事なり、活計の事なり、社会の交際、一人の行状、小は食物の調理法より大は外国の交際に至るまで千差万別、無限の事物を僅々数年間の課業をもって教うべきに非ず、学ぶべきに非ず。たとえ、その一部分にてもこれを教えて完全ならしめんとするときは・・・ 福沢諭吉 「文明教育論」
・・・今仲の町で遊客に睨みつけられる烏も昔は海辺四五町の漁師町でわずかに活計を立てていた。今柳橋で美人に拝まれる月も昔は「入るべき山もなし」、極の素寒貧であッた。実に今は住む百万の蒼生草,実に昔は生えていた億万の生草。北は荒川から南は玉川まで、嘘・・・ 山田美妙 「武蔵野」
出典:青空文庫