・・・ その日のために、ロシアのプロレタリアートと農民は、監獄、銃殺、流刑と、あらゆる迫害を徹して闘い抜き、遂に一九一七年十一月七日、働く者の国、プロレタリア独裁のソヴェト政権を確立したのです。 この地球はじめての人間らしい憲法がきめられ・・・ 宮本百合子 「ソヴェト同盟の婦人と選挙」
・・・同じスラヴ人の同時代人には二十年の流刑に堪えたチェルヌイシェフスキーをはじめ、七〇年代八〇年代以降今日に至るまでに、人類の中で最も堅忍と不撓不屈の意力によって歴史を押しすすめた更に多くの誇るべき大人物がスラヴ人の中から出ているのだから――。・・・ 宮本百合子 「ツルゲーネフの生きかた」
・・・貴族の陪審員として、偶然、その日の公判に臨席していたネフリュードフが、シベリア流刑を宣告されたそのカチューシャという売笑婦こそ、むかし若かった自分が無責任にもてあそんだ伯爵家の小間使いであったことを発見する。そして、道徳的責任にたえがたくめ・・・ 宮本百合子 「動物愛護デー」
・・・けれども、最後の場面で、政治犯でシベリアに流刑される人々にまじったカチューシャが、その人々の感化から自分の過去の不幸の意味を理解し、人間としてそこからぬけ出してゆく途がわかってみれば、ネフリュードフの自己満足のための犠牲はいらないこととわか・・・ 宮本百合子 「復活」
・・・ ツァーのロシア社会の暗くむごたらしい封建的な絶対制はそれを批判し、社会を発展させようとするインテリゲンツィアを流刑にさらし、監視の下におき作品発表の自由を奪った。チェルヌイシェフスキー、プーシュキン、レルモントフ、ゴーリキイみんなそう・・・ 宮本百合子 「プロレタリア婦人作家と文化活動の問題」
・・・捕縛されて二年の牢獄生活の後、シベリアのヤクーツクに流刑された。十年間そこに暮した。革命的学生として同じ頃流刑されていたコロレンコを知っていた。 苦しい動揺の後、自分にとって余り誇りとならない事件の後のゴーリキイにとって、このロマーシの・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・ 翌年の春、この出来事によってかえって生活に対する溌剌さをとり戻したゴーリキイは、学生仲間で知り合ったロマーシという、シベリア流刑から帰ったナロードニキと、ヴォルガ下流の或る村へ行った。ロマーシはそこで「人間に理性を注ぎ込む仕事」をし、・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの発展の特質」
・・・たちの恐ろしい悪計によって、革命的であった農民イゾートはヴォルガ河のボートの中で頭をわられて殺され、ゴーリキイたちの店は放火され、そのどさくさにゴーリキイやロマーシももうすこしのところで殺されかけた。流刑地でのいろいろの危急の場合にきたえら・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」
・・・の二つの戯曲がこの一種の流刑生活の間に書かれた。「どん底」は特別な成功をかち得、ゴーリキイの名をいよいよ世界的にした。「どん底」の巨大な成功によって得た金で、ゴーリキイはペテルブルグの「ズナーニエ」という出版書肆を買った。少しでも自由に、進・・・ 宮本百合子 「逝けるマクシム・ゴーリキイ」
・・・有名な十二月党の革命的計画についての調書の一部、処刑された数人の党員の写真、シベリアの流刑地で労役の合間に石に腰かけ、本を読んでいる人々の姿、この辺になって来ると、もう皆はさっさと室を通りすぎることは出来ない、一枚一枚の写真が、ロシアの革命・・・ 宮本百合子 「ロシアの過去を物語る革命博物館を観る」
出典:青空文庫