・・・ 現在いろいろな成員をもっているサークルの、どこかで流通のとどこおっている空気のまま、岩上順一が座談会で力をこめて云っているように労働者として「一番大事なもの、闘争なら闘争の一番進んでゆく道」を記録としてかくように「意識的に」サークルを・・・ 宮本百合子 「その柵は必要か」
・・・ 空気の流通と、日光の直射を受ける事がないから、土面にじかに敷いた「寝わら」だのきたないものから、「あぶ」や「蠅」は目覚ましい勢でひろがって、飛び出そうにも出処のない昆虫はつかれて小屋に戻って来る馬を見るとすぐその身を黒く包み去るのであ・・・ 宮本百合子 「農村」
・・・ 婦人ばかりがぎっしりつまった狭い室だが、開けはなされた二つの大窓から流通する光線と大気とは、すがすがしくて、秋の午後の清潔なぬくもりが室じゅうにとけている。窓からは遠く森や丘のつらなった外景と、その上の空が見えていて、風景は骨組の大き・・・ 宮本百合子 「風知草」
出典:青空文庫