・・・それから数株の梅の老木のほかには何一つなく清掃されている庭へ出て、老師の室の前の茅葺きの簷下を、合掌しながら、もはや不安でいっぱいになった身体をしいて歩調を揃えて往ったり来たりして、やはり老師さん! 老師さん! を繰返し続けたが、だんだんそ・・・ 葛西善蔵 「父の出郷」
・・・同時に、日本海をこえて来る資本主義、帝国主義を、この海岸から清掃しようとしている。かつてウラジヴォストクからコルチャック軍と一緒にプロレタリアートのソヴェト・ロシア揉潰しを試みて成功しなかった日本帝国主義軍、自覚のない、動員された日本プロレ・・・ 宮本百合子 「新しきシベリアを横切る」
・・・大ニコニコで、盛んに社会的清掃をつづけながら遠ざかった。 自動車工場「アモ」のデモは別の趣好だ。幾流もの横旗の上に小さい自動車が一台ゆれてくる。みんなの目の前でパラリとそれがひらく。生産経済計画を百パーセントに! はすか・・・ 宮本百合子 「インターナショナルとともに」
・・・ 反革命的異分子の清掃が、あらゆる部門にわたって積極的に行われはじめた。 間断なき週間制によって、五日週間を働くようになった一般勤労者は、職場職場で、生産能率増進のウダールニクを組織し、家へかえる道々には、例えばモスクワ市立銀行の屋・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・ ある作家、編輯者はこの作に対して公に龍胆寺に挑戦をしたり、雑誌の六号記事はどれもそれにふれる有様であったが、この作品は、文壇清掃の初歩的な爆弾的効果をもはたさず、いわば作者一人の損になってしまった形で終った。 ブルジョア文壇への登・・・ 宮本百合子 「一九三四年度におけるブルジョア文学の動向」
・・・東京都が市街の清掃位出来るように努力してゆくことこそ代議士の仕事である。同一労働に同一賃銀を云う婦人代議士もある。しかし、根本をなす憲法改正案に対して定見を示していない婦人代議士が、どうして、それだけの大事業をなしとげられよう。まして、自由・・・ 宮本百合子 「春遠し」
・・・打倒同盟によって、猛烈な自己清掃を行った。それから新しい踏み出しで日本プロレタリア作家同盟に加盟した。 今度の場合も同じだ。彼らが日本プロレタリア作家同盟に合流することを予定して、「文戦」の幹部と階級的闘争を行ったからには、はっきり第二・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
出典:青空文庫