・・・附記 谷氏はしたしみぶかく漢字制限を使用されています。〔一九四八年四月〕 宮本百合子 「私は何を読むか」
・・・「それは漢字ばかりで書いた本で、お前にはまだ読めない」と言うと、重ねて「どんなことが書いてあります」と問う。多分広告に、修養のために読むべき書だというようなことが書いてあったので、子供が熱心に内容を知りたく思ったのであろう。 私はと・・・ 森鴎外 「寒山拾得縁起」
・・・まだ植字啓源などと云う本の行われた時代の字書だから、音訳に漢字が当て嵌めてある。今でもその字を記憶しているから、ここに書いても好いが、サフランと三字に書いてある初の字は、所詮活字には有り合せまい。依って偏旁を分けて説明する。「水」の偏に「自・・・ 森鴎外 「サフラン」
・・・わたくしのわずかな接触の間にも、この問題についておりにふれて教えられたことは、かなり多く記憶に残っている。漢字をいきなり象形文字と考えるのは非常な間違いで、音を写した文字の方が多いこと、同じ音で偏だけ異なっているのは偏によって意味の違いを表・・・ 和辻哲郎 「露伴先生の思い出」
出典:青空文庫