・・・そして、それを慰むべき手段は次第に潜行的に、意表に出てくるのだった。 線路には、爆破装置が施されているのではなかった。破壊されているのでもなかった。たゞ、パルチザンは、枕木の下へ油のついた火種を入れておくだけだった。ところが、枕木は炭焼・・・ 黒島伝治 「氷河」
・・・ハバロフスクへ潜行運動にベザイスが、絵を描いた貨車にのっかって行く。その中途から頼まれてのせてやった娘とそう話すのである。 我々の列車もモスクワを出て九日目。ハバロフスクの手前を走っている。 ある小さい駅を通過した時、女がにない棒の・・・ 宮本百合子 「新しきシベリアを横切る」
・・・ この次の機会にこそ、日本は漁夫の利をしめるか、さもなければ大漁祝いのわけ前にありついて、前回でものにしそこねた北や南での領土的野心をみたすことができるという潜行的な宣伝が行われている。あれこれと形をかえて、民間にはいりこんでいるもとの・・・ 宮本百合子 「便乗の図絵」
出典:青空文庫